3.JR西日本2020年ダイヤ改正 【2020年灘校鉄道研究部部誌「どんこう」】
中学2年 No.7708
はじめに
こんにちは。ここでは2020年3月14日に行われましたJRグループのダイヤ改正について書いていきます。特に、自分たち灘校生が毎日大変お世話になっているJR西日本にその焦点を当てていきます。
この記事ではJR西日本の関西地区を以下の3つのグループに分けることにします。
②福知山線
③大和路線
この順番で説明していきたいと思います。
これ、実は1つめから言っちゃいますけど、うーん…東海道線とその周辺の路線は驚くほど変わってないのです。改めてダイヤ改正後の時刻表を見ていきますと、「これはヤバい」と思わず数秒固まり、絶句…してしまいました。従って、かなり苦し紛れにはなりますが、この①の東海道線に関しては、「ある駅のユーザーとして改善して欲しい接続」を書いていきたいと思います。「改善して欲しい接続」と書くだけで、もしかしたらこの部誌を読んでくださっている方ならば、どこの駅の何と何の接続なのか?という予想はつくのではないかと思います。そのくらいいつも感じる接続の不備なのです。その答えは、芦屋駅と神戸駅です。芦屋駅では、通常では下り快速と下り普通の接続が行われています。しかし、下り新快速と下り普通は少しの差で接続が行われないのです。更に、神戸駅では下り快速と下り新快速は、少しの差で接続が行われないのです。これらの少しの差とはズバリ!数分程度です。従って、神戸線ユーザーとしては、それらの駅にてこの下り新快速と下り快速や下り普通の接続がされていないことによって、日常においてはかなり不便だと感じてしまうのです。以下、その点の改善点を考察してみました。
まず、下り列車の接続について考えてみました。仮に、芦屋駅で下り新快速と下り普通との接続をするとします。その時を以下の2つのパターンに分けて考えてみました。
- 下り新快速の神戸駅への到着を2分遅らせる場合
この場合は、下り新快速の神戸駅への到着が遅くなってしまいます。
そのため、その下り新快速は、どうしても神戸駅にて下り快速に追いつけなくなってしまうのです。残念ながら、上手くいきません…。
- 下り普通の芦屋駅への到着を2分早める場合
この場合に関しては、大阪駅での下り普通と下り快速の接続も早くなってしまい、結局のところ芦屋駅での下り新快速が下り普通に追いつけなくなります。
やはり、上手くいきません。
どちらの場合も上手くいかないという結果になってしまうのです。
つまり、結論としてこの芦屋駅と神戸駅の2つの駅での接続を同時うまく実行させるためには、「芦屋駅から神戸駅において、下り新快速の数分のスピードアップをする」ことを実現するしか解決策がみつからないとなるのです。
そして次に、同じ時間割にてダイヤが組まれている上りも大体同じようなことになるのです。
①神戸駅にて上り快速が遅れてやってきてしまう、または②芦屋駅にて上り普通が先に行ってしまう、となり、結論としては、どちらの場合も神戸ー芦屋駅間での上下新快速のスピードアップの必要性が条件として必須との結論に行き着くのです。
しかしです。この芦屋駅ー神戸駅での上下新快速の数分の時間短縮を行う必要があるということは、大きな壁にぶつかってしまいます。それは、やはりここ十数年にわたりJR西日本が社会的に公共交通を担う会社として目指してきたテーマである安全第一の精神とは相反するものがあると言わざるを得ません。
そのきっかけは、2005年4月26日にJR尼崎駅―塚口駅間で起きた福知山線脱線事故による教訓とのバランスです。かつてのJR西日本は、他社私鉄との競合に勝つために在来線においての高速化を過度に求めるあまり、ダイヤが非常に過密になり、そのことが運転手に常に大きなプレッシャーを与えることにつながったと言われました。
もちろん単純にそれだけの要因ではないにしろ、過度のプレッシャーや、秒単位でのダイヤ定時走行から遅れた場合のペナルティなどが重なり、あの脱線事故につながったとされたのです。
芦屋駅ー神戸駅間において、上記のようなユーザーにとっての利便性の向上を求めるために、上下新快速の数分のスピードアップが必要となるならば、それによりユーザーの安全を担保することが揺らいでしまうのでは本末転倒となるという考え方です。ここは難しいところですが、自分たちユーザーはどこまで利便性を求めて行くのか?と、同時にその自分たちユーザーの安全性をどう担保させるのか?というバランスが大切になると思います。以前、あの脱線事故の記事を読んだ時、また毎年のように献花に訪れて感じることといえば、やはり鉄道会社にとって最優先されるべきものはユーザーの安全性であり、そのためには利便性が多少とも犠牲になることは致し方ないと言えるのです。
ぶっちゃけ言えば、生命の安全のためには、多少の不便はしょうがないよ!ということに尽きると思います。だからこそ、そのために新快速の技術革新をしてほしい!のです。
「技術革新」を期待して、この考察の結論とします。
正式名称福知山線・通称宝塚線は今回のダイヤ改正において日中は大きな変化がありました。
実はJR西日本の関西エリアにおいては、最大の変化といえるのでしょう。
それは、◎日中の「快速」と「丹波路快速」が「区間快速」になったことです。
大事なことなので繰り返します。福知山線においての主要な運用を担っていた「丹波路快速」が、今回「区間快速」として運用されることになったのです。今までは福知山線において東西線経由の塚口駅行きにしか運用されてなかった「区間快速」ですが、今回の改正により、初めて「区間快速」が篠山口駅まで延長されて運用されることになったのです。さらに、それにともなってその時間帯の普通の運転区間が縮小されることになりました。
でしたが、今回の改正により、
となりました。
一見地味ではありますが、これをよくよく観察していきますと、実は今回のダイヤ改正によって宝塚駅―新三田駅のユーザーにとっては大きな変化となるのです。
初めに接続・待避を見ていきます。
まず上りですが、今までは、川西池田駅にて普通が丹波路快速(時間帯によっては快速)と特急こうのとりを待避していました。
今回の改正によってもその点は今までと同じで、川西池田駅で普通が区間快速と特急こうのとりを待避しますし、区間快速(ⅰ)は途中で停車駅が増えるとしても同じく特急こうのとりから大阪駅まで逃げ切ることになります。そして上下共に共通して変わるのが、区間快速(ⅱ)が新三田でこうのとりを待避するということです。
一方下りも変化があります。
まず下り普通は、今までのように川西池田駅にて丹波路快速や特急こうのとりの待避を行わず、宝塚まで先着し逃げ切ることになります。そして下り区間快速(ⅱ)が川西池田駅にて特急こうのとりを待避するようになります。そもそも「丹波路快速」から「区間快速」になる時点で、生瀬駅、武田尾駅など停車駅が増えることになり、所要時間の増加が見込まれていました。
さらにこの新三田駅にての特急こうのとりの待避により、所要時間の上乗せが大きくなるということです。つまり、福知山線(通称宝塚線)の中でも新三田駅以北の各駅は、大阪までの所要時間に大きな変化があるということになってしまうのです。
そのことを具体的に見ていきます。
例えば、平日の昼間です。11:14篠山口駅発の丹波路快速大阪行きは、ダイヤ改正前ならば、12:21に大阪駅に着く予定なので所要時間は68分でした。しかし、同じく平日の同時刻帯(5分遅く出発になりますが、)について、11:19篠山口駅発の区間快速大阪行きは、12:36に大阪駅着となりますため、所要時間は77分となります。同じ駅からの所要時間が今回のダイヤ改正によって突然9分多くかかってしまうことになるのです。
余談ですが、昨年2019年春のダイヤ改正により、同じく新三田駅以北の各駅は、季節を問わずにドアの開閉が自動ではなくなっています。この1年間の動作の手間も合わせてさらに所要時間延長とは…。これは、福知山線ユーザーにとってはかなり逆戻り感を感じてしまうことになります。
経済効率を考慮し、選択と集中による差別化は、この場合しょうがないこととはいえ、2年連続での改正による不便さの増大は、これら駅のユーザーの不満を蓄積させる一因になっていて、この点はとても残念です。
③ 大和路線
大和路線の今回のダイヤ改正は、一部の福知山線の駅と同じく、最寄り駅によってはかなり不便になってしまう改正となりました。それは、日中の高田行き快速がなくなってしまったからです。
日中時間帯は、大和路線と万葉まほろば線との分岐の駅である王寺駅から、高田行きが運行されるようになります。そして同時に大和路快速の運用は全て8両編成になります。大阪と奈良を結ぶ大動脈である大和路快速において、その混雑などは緩和され、便利になるようです。
また、以下はかなりマニアックな内容ですが、大和路線の高田快速の運用にて使用しなくなった車両の4連分と、奈良線のみやこ路快速の車両を4両編成から6両編成にすることによって余ってきた車両の4連分を合わせて大和路快速の運用をすべて8両編成にて行うということかもしれません。
これらのトータルとしては、大和路線の大和路快速と、奈良線のみやこ路快速においては、編成の変化により車内混雑の緩和が実現されるようです。そのことも合わせて考えると、この大和路線での便利不便のマダラ模様は、福知山線に比較するとある意味では納得感もあるかも知れません。
おわりに
最後に番外編として近年のJR西日本における春のダイヤ改正の全体的な印象です。
ダイヤ改正は、かつては尼崎駅のターミナル化や東西線の開通、或いは新快速の停車駅が増えたことなどその時代を象徴し、物語るような大きな出来事と結びつくような変化の時代もありました。しかし、ここ最近はいわゆるマイナーチェンジに終始していて、特に驚きとともにとらえられることもなくなったようです。
それは、将来の人口減少時代を見据えて、大掛かりなプロジェクトが動くというよりも、利便性の向上、質の高い輸送に主眼を置いたものとなっているからだと思います。
来年以降も、この質の充実を図る目的でこの春のダイヤ改正が行われていくと予想しています。