南海7000系(車両研究紹介・南海その1)
これから、南海電鉄の車両を紹介する記事を連載していきますが、連載に先立ってこの記事での形式の呼び方について説明しておきます。
一部の本では6001系、7001系などと下1桁を1にしているのを見かけますが、当記事では現存する形式と6100系、7000系、21000系(丸ズーム)、22000系、初代1000系、20000系(先代こうや号)については下1桁を0にしています。ただし、それ以外の車両と初代1000系の改造前の形式である11001系、12001系については下1桁を1にしています。
また、Mc・Tc・M・Tなどの“形”については、8301~8305は8301形というように全車両下1桁を1にしています。
編成名については編成の一番難波側の車両の号車番号にFをつけて×××Fと呼ぶこととします。
例えば
←難波
8305-8605-8655-8405
の編成は8305Fと呼びます。
それでは、7000系の紹介をします。
☆7000系とは?
7000系は1963(昭和38)年から1968(昭和43)年にかけて、帝国車輛・東急車輛・近畿車輛で製造された車両です。6000系と同じく片開き扉の20m級4扉車で窓は2段上昇窓、制御方式も超多段式バーニア制御で前面の形も同じですが、6000系はオールステンレスなのに対し、当形式は普通鋼で製造されました。というのも当時の南海線は高架化されている区間が少なく踏切が多かったので、人身事故が多発していました。そのため車体の修復が難しいステンレスではなく、容易に修復できる普通鋼が採用されたのです。また、台車についても6000系はパイオニア台車でしたが、当形式では住友ミンデン台車が採用されました(現在は6000系も住友ミンデンに交換済)。
(↑旧塗装になった7037F。 2015年6月19日、岸和田駅にて)
☆7001F~7023Fの製造・編成組み換え
まず1963(昭和38)年から1966(昭和41)年にかけて7001F~7023Fが製造されました。当形式には7001形(Mc)・7801形(T)・7901形(Tc)があり、cMTcの2両編成とcMTMcの3両編成が組まれました(当時の急行は5両編成)。
製造当初の編成は以下の通りです。
←難波
7001F:7001-7901 7003F:7003-7801-7002
7005F:7005-7902 7007F:7007-7802-7006
7009F:7009-7903 7011F:7011-7803-7010
7013F:7013-7904 7015F:7015-7804-7014
7017F:7017-7905 7019F:7019-7805-7018
7021F:7021-7906 7023F:7023-7806-7022
(↑新塗装の7019F。 2015年5月18日、岸和田駅にて)
当初の計画では急行の6両編成化の際にT車を新造し、Tc車をMcに改造して車番を7901→7004、7902→7008…と改番して4M2Tになる予定でした。
例えば7001Fと7003Fは
7001-7901+7003-7801-7002
↓
7001-7801-7002+7003-7802-7004
となる予定でした(T車は車番の若い順に並べる)。
しかし、試運転の結果3M3Tでも対応できることが分かり、Tc車の改造は中止になりました。このため、7001形の4の倍数(7004、7008…)が欠番となっています。結局1966(昭和41)年に7807~7812が新造され、cMTTMcの4両編成とcMTcの2両編成が組まれました。
組み換え後の編成は以下の通りです。
←難波
7001F:7001-7801-7802-7002 7003F:7003-7901
7005F:7005-7803-7804-7006 7007F:7007-7902
7009F:7009-7805-7806-7010 7011F:7011-7903
7013F:7013-7807-7808-7014 7015F:7015-7904
7017F:7017-7809-7810-7018 7019F:7019-7905
7021F:7021-7811-7812-7022 7023F:7023-7906
また、このうち組み換え前における7001F~7019Fにあたる車両は600Vの単電圧仕様だったため、1973(昭和48)年の架線電圧の昇圧に備え昇圧準備改造が行われました。
(↑7037F 2015年8月21日、天下茶屋駅にて)
☆7025F~7055Fの製造
7025F以降は初めから4両編成と2両編成で製造されました。1968(昭和43)年までに7055Fまで合計90両が竣工しました。
7025F~7055Fは以下の編成となっていました。
←難波
7025F:7025-7813-7814-7026 7027F:7027-7907
7029F:7029-7815-7816-7030 7031F:7031-7908
7033F:7033-7817-7818-7034 7035F:7035-7909
7037F:7037-7819-7820-7038 7039F:7039-7910
7041F:7041-7821-7822-7042 7043F:7043-7911
7045F:7045-7823-7824-7046
7047F:7047-7825-7826-7048
7049F:7049-7827-7828-7050
7051F:7051-7829-7830-7052
7053F:7053-7831-7832-7054
7055F:7055-7833-7834-7056
7045Fは南海で最初のATS車上子取付車で、出場当初は乗務員の教習に使用されました。
(↑7037Fの中間車。上から7820、7819。 2015年9月12日、堺駅にて)
☆冷房化・車体更新
当形式では1977(昭和52)年度から列車種別行先表示器の設置を開始し、1983(昭和58)年から冷房化・車両更新に取りかかります。
主に車体更新・屋根の補強・配線配管取り替え・パンタグラフの交換(菱形から下枠交差型に)等が行われ、
2両編成では電動発電機の取り替えとTc車への移設・Mc車の空気圧縮機の改造
4両編成では制御装置の改造による8M1C化(難波方Mc車に集約)・補助電源装置の電動発電機から静止型インバータへの変更(和歌山市方Mc車に取付)・空気圧縮機の改造(和歌山市方2両に取付)・パンタグラフの移設(難波方Mc車と和歌山市方Mc車の難波側に1つついていたのを難波方Mc車に集約、ダブルパンタに)
が実施されました。室内内張も6200系と同じ模様のデコラ張りにされましたが、車いすスペースは設置されていません。
その後、1992(平成4)年から先頭車前面のスカートの設置と新塗装化が行われました。
(↑7000系さよなら運転……ですが下り普通が来てあせったため酷い写真になってしまいました。 2015年10月3日、石津川駅にて)
☆旧塗装復活・廃車
新塗装化が行われてからは旧塗装を見ることはなくなりましたが、2005(平成17)年10月から翌年6月まで南海創業120周年記念に7037F+7027Fが旧塗装で運用されました。
しかし、鋼製のため塩害が問題視され、2007(平成19)年に高野線から南海線へ2000系が転属してきたことによりまず7001F、7005F、7015Fが廃車となりました。これが7000系初の廃車となり、2008(平成20)年から2014(平成26)年の新型8000系の増備と2012(平成24)年の3000系の泉北高速鉄道からの譲渡でますます廃車になります。
そして2015(平成27)年6月からは南海創業130周年記念に再び7037Fが旧塗装となり、同じく旧塗装にされた10000系10004Fと連結してサザン運用に入ります(たまに別編成と連結してサザン以外の運用にも入りました)。7037Fは当形式の中で最後まで残りましたが、8300系の導入に伴い同年9月30日に定期運行を終了、10月3日に臨時列車によるさよなら運転が実施されて旧塗装のまま引退、廃車となりました。一方でオールステンレス製の6000系は現在も1両たりとも廃車になっていません。
(↑引退後の7000系。これが筆者が最後に7000系と会う機会となりました。 2015年10月24日、南海電車まつり2015 千代田工場にて)
執筆・写真:No.7212
校正:編集長(No,7005)