灘校鉄道研究部公式ブログ

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南海の車両形式(その8、6000系)

☆6000系とは?

 南海電鉄では南海線向けに11001系(旧1000系)、高野線向けに21000系といった2扉の急行形高性能車が製造されましたが、加えて通勤形車両向けに20m級4扉車を導入することになりました。当時沿線開発が進んでいた高野線にはアメリカのバッド社との技術提携による東急車輌製造のオールステンレス車を導入することになり、1962(昭和37)年から6000系が製造されました。オールステンレス車については同年に東急7000系京王3000系が製造されていますが、20m級は当形式が日本初です。制御方式はバーニア制御で台車はパイオニア台車を採用、屋根上にはベンチレーターが並んでいました。

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(↑6003F。 金剛駅にて、トリミング済)

 

☆1次車の製造

 1962(昭和37)年に6001F3両(cMTMc)が製造されました。製造当初の6000系はモハ6001形(Mc)、サハ6801形(T)、クハ6901形(Tc)で構成されていました。また、1~3次車は製造時点では昇圧対応はなされていません。

 

←難波

6001F:6001-6801-6002

 

☆2次車の製造

 続いて1963(昭和38)年に2次車3編成が製造されました。

 

←難波

6003F:6003-6802-6004 6005F:6005-6803-6006

6007F:6007-6804-6008

 

☆3次車の製造

 1964(昭和39)年にcMcMTcの6009Fが製造されました。当時輸送力増強のためにcMTccMTcの4両編成にする構想があったため、このような編成になりました。また、翌年に2代目6010が製造され、6009Fは編成組み換えを行い、従来の6010は6011に改番され6011Fに組み込まれました。

 

←難波

6009F:6009-6010-6901 → 6009-6901-6010Ⅱ

 

☆4次車の製造

 1965(昭和40)年に4次車6011F・6013Fと2代目6010(上記参照)が製造されました。同年に昇圧が決定したため4次車以降は昇圧対応となったほか、クハ6901形の6902以降には電装準備が施されるようになりました。

 

←難波

6011F:6011(元6010、3次車)-6902-6012 6013F:6013-6903-6014

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(↑6903F。 沢ノ町駅にて)

 

☆5次車の製造

 1966(昭和41)年に6015F・6017Fが製造されましたが、3両編成では混雑に対応できなくなったためcMTcTMcの4両となり、6009F・6011F・6013Fを4連にするためのサハも製造されました。また、ナンバープレートが退色しやすいブルーからグリーンに変更され、在来車も変更されました。

 

←難波

6015F:6015-6904-6808-6016 6017F:6017-6905-6809-6018

 

6009F・6011F・6013Fは以下のようになりました。

 

←難波

6009F:6009-6901-6010Ⅱ→ 6009-6901-6805-6010Ⅱ

6011F:6011-6902-6012 → 6011-6902-6806-6012

6013F:6013-6903-6014 → 6013-6903-6807-6014

 

☆6次車の製造

 1967(昭和42)年には以下の編成が製造されました。

 

←難波

6019F:6019-6810-6020 6023F:6023-6906-6812-6024

6021F:6021-6811-6022 6025F:6025-6907-6813-6026

 

☆7次車の製造

 1968(昭和43)年に4連5編成と6007F・6019F・6021Fの4連化用クハが製造されました。このうち6027Fは繰り上げ発注され、ATS取付のために入場する車両を補完しました。

(※6027Fとクハ3両は7次車ではありませんが、製造年別で項目を分けているためここで説明しています。)

 

←難波

6027F:6027-6908-6814-6028 6029F:6029-6912-6815-6030

6031F:6031-6913-6816-6032 6033F:6033-6914-6817-6034

6035F:6035-6915-6818-6036

 

6007F:6007-6804-6008 → 6007-6909-6804-6008

6019F:6019-6810-6020 → 6019-6910-6810-6020

6021F:6021-6811-6022 → 6021-6911-6811-6022

 

 1969(昭和44)年には3連で残っていた6001F・6003F・6005Fを4連化するためのサハが製造され、6000系の製造は完了しました。

 

←難波

6001F:6001-6801-6002 → 6001-6801-6819-6002

6003F:6003-6802-6004 → 6003-6802-6820-6004

6005F:6005-6803-6006 → 6005-6803-6821-6006

 

これで4両×18編成の72両が出そろいました。

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(↑6907F。沢ノ町駅にて)

 

☆編成組み換え

 1971(昭和46)年の6両運転開始のために2両編成が必要となり、編成の組み換えがされ、cM-T-T-Mc10本、cM-T-cT-Mc1本、cM-Tc7本、cT-Mc7本となりました。

※組み換え実施後の編成は新旧車番対照表(後述)の旧車番をご覧ください。

 

☆1~3次車の昇圧対応改造

 架線電圧が1973(昭和48)年10月に600Vから1500Vに昇圧されるため、600V単電圧仕様の1~3次車は1972(昭和47)年6月~73(昭和48)年2月に昇圧準備が実施され、主電動機・制御装置・電動発電機が変更されました。

 

☆複線化対応工事

 河内長野~橋本間複線化の際、最大33‰の連続勾配区間があり抑速制動が必要なため、1975(昭和50)年度から実施されました。抑速制動装備による容量増のため主抵抗器を新製し、電動発電機が移設されました。

 

☆長編成化対応工事

 高野線の長編成化に際して、1980(昭和55)年度~82(昭和57)年度に先頭部の連結器を密着連結器に交換し、電気連結器も新設されました。

 

☆更新修理・冷房化

 製造から年月が経ち老朽化してきたため1985(昭和60)年~91(平成3)年に更新修繕が実施され、同時に冷房化工事も施工されました。外板張替はステンレス車体のため腐食部分のみにとどまり、屋根板は新製されクーラーが取り付けられました。パンタグラフは下枠交差式のものに変更され、他に床板・内張の取替や艤装の変更などが実施されました。また、クーラー設置による重量増のため台車が従来のパイオニア台車から取り換えられ、一部は旧1000系から流用されました。

更新工事を受けた4両編成は車番が変更されています。

 

☆新旧車番対照表(2両編成は車番が変更されていません)

旧車番→新車番の順です。

※6009Fのクハ6901はサハ6610に改造されました。

 

←難波

6001F:6001-6801-6819-6002 → 6001-6601-6602-6002

6003F:6003-6802-6820-6004 → 6003-6603-6604-6004

6005F:6005-6803-6821-6006 → 6005-6605-6606-6006

6007F:6007-6804-6810-6008 → 6007-6607-6608-6008

6009F:6009-6805-6901-6010 → 6009-6609-6610-6010

6013F:6013-6806-6807-6014 → 6013-6611-6612-6014

6017F:6017-6808-6809-6018 → 6017-6613-6614-6018

6023F:6023-6811-6812-6024 → 6023-6615-6616-6024

6025F:6025-6813-6814-6026 → 6025-6617-6618-6026

6029F:6029-6815-6816-6030 → 6029-6619-6620-6030

6035F:6035-6817-6818-6036 → 6035-6621-6622-6036

 

6011F:6011-6902 6903F:6903-6012

6015F:6015-6904 6905F:6905-6016

6019F:6019-6910  6907F:6907-6028

6021F:6021-6906 6909F:6909-6020

6027F:6027-6908 6911F:6911-6022

6031F:6031-6912 6913F:6913-6032

6033F:6033-6914 6915F:6915-6034

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(↑6001Fトップナンバー。 なんば駅にて)

 

☆塗装変更

 カラーデザインの変更に伴い1992(平成4)年度~95(平成7)年度に従来のステンレス無塗装からブルーとオレンジの帯が入った現在の塗装に変更されました。

 

☆現在の動向と今後の処遇について

 現在、6000系は製造後50年が経過した編成があるにもかかわらず、72両全車が現役です。現在は南海線の7100系の置き換えが優先されているものの、ドアエンジンの補修部品が入手困難になっているなどの問題が生じており、いつ廃車が発生してもおかしくない状況です。7100系・10000系同様撮影等の記録はお早めにすることをお勧めします。(旧塗装復刻の可能性もあると思います)。

 

※参考文献

車両発達史シリーズ 南海電気鉄道 下巻

鉄道ピクトリアル 特集 南海電気鉄道

 

執筆:No.7212

校正:副編集長(No.7203)