南海1000系(車両研究紹介・南海その5)
☆1000系とは?
1990(平成2)年にVVVF制御のズームカー2000系がデビューし、20m車もVVVFで製造することになり、南海線・高野線(難波~橋本間)の両方で使用可能な車両として1992(平成4)年から製造されたのが1000系です。当時は関西空港の開港の直前だったこともあり、デザインが一新され、内装もグレードアップされました。車体は軽量ステンレスで前面は2000系より傾斜させ丸みを持たせ、塗装は新塗装にされグレーの車体にブルーとオレンジの帯が張り付けられました。車内については計器類のデジタル化が図られたほか、座席がセミクロスシートとされ、従来の赤ではなくグレーのシートが採用されました。また、LED表示器が取り付けられ、上に路線図が設置されています(かつては路線図も点灯しましたが、現在は点灯しないものに変更されています)。
(↑泉北ニュータウンの中を走る1001F。 栂・美木多駅にて)
☆1次車の製造
1992(平成4)年に以下の編成が竣工しました。編成は1001形(Mc)、1801形・1601形(T)、1301形・1101形(M)、1501形・1701形(Tc)による6両編成と2両編成で1001形・1301形に下枠交差式パンタグラフが2基設置されています。
←難波
1001F:1001-1801-1301-1601-1101-1501 1031F:1031-1701
1000F:1002-1802-1302-1602-1102-1502 1032F:1032-1702
1003F:1003-1803-1303-1603-1103-1503 1033F:1033-1703
竣工後、1001F・1002F・1031F・1032Fは南海線、1003F・1033Fは高野線に配属されました(配属以降転属が発生しています)。
☆2次車の製造
1993(平成5)年と1994(平成6)年に2次車が製造されました。車体幅が拡大され窓の高さと寸法を変更、主電動機も変更されました。
←難波
1004F:1004-1804-1304-1604-1104-1504 1034F:1034-1704
1005F:1005-1805-1305-1605-1105-1505 1035F:1035-1705
1006F:1006-1806-1306-1606-1106-1506
2~5次車は基本的に南海線配置ですが、一時的に高野線に転属した編成もあります。
(↑後ろに8300系を連結して走る1031F。 羽衣~高石間にて)
☆3次車の製造
1995(平成7)年に3次車が製造されました。乗務員室内の化粧板を黒色にし、運転席背面ガラスと運転席側開戸落とし窓ガラスにスモークフィルムが貼り付けられました。
←難波
1007F:1007-1807-1307-1607-1107-1507 1036F:1036-1706
☆4次車の製造
1998(平成10)年に1008Fが登場、シートモケットの色が濃い目のグレーになり添乗席ワイパーのスイッチが移設されました。また、列車無線装置は解体発生品が流用されました。
←難波
1008F:1008-1808-1308-1608-1108-1508
☆5次車の製造
1999(平成11)年に1009F、2000(平成12)年に1010Fが登場、ドアチャイム・誘導鈴取付準備工事が行われました。5次車では列車無線装置だけでなく列車種別選別装置も流用されました。
←難波
1009F:1009-1809-1309-1609-1109-1509
1010F:1010-1810-1310-1610-1110-1510
☆6次車の製造
2001(平成13)年に6次車が製造されましたが、大きな変更が行われたため車番は連番ではなく1051Fとされました(1000系50番台、1050系と呼ばれることもあります)。1051Fは1000系唯一の4両編成で、基本的に南海線のみでの運行です。
(↑6次車1051F。 堺駅にて)
←難波
1051F:1051-1851-1151-1551
車体の外板はグレーではなく無塗装とされ、転落防止幌・ドアチャイム・誘導鈴が設置されました。また、制御装置・補助電源装置と台車が変更され、南海では初めてシングルアームパンタグラフが採用されました。乗務員室内でも計器類のアナログ化や車掌モニタのカラーLCD化などが行われました。
☆改造工事
製造後も連結部の転落防止幌取付や1009Fと1010Fへの増粘着材噴射装置設置が実施され、8000系登場時には車掌モニターのROM変更が行われました。
(↑10009F回送と1003F。 泉大津駅にて)
☆現在の所属
現在は1001F・1002F・1032Fが高野線、それ以外の編成は南海線に所属しています。南海線所属の2両編成に関しては8000系に加えて8300系との併結運転も実施されています。
執筆:No.7212
校正:編集長(No.7005)