灘校鉄道研究部公式ブログ

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南海2000系(車両研究紹介・南海その6)

2000系とは?

2000系は21000系と22000系の置き換え用として東急車輌1990(平成2)年から製造されたズームカーです。軽量ステンレス車体が用いられ、南海で初めてVVVFインバータ制御が採用されましたが、加減速度や各ノッチ特性などは在来車との併結が考慮されています。また、座席はロングシートで中間に仕切りが設置されています。

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(↑南海線で活躍する2001F2002F天下茶屋駅にて)

 

1次車の製造

モハ2001(cM)-モハ2051(M)-モハ2101(M)-モハ2151(Mc)4両編成、2001F1990(平成2)2月に製造されました。先頭車前面にFRP製の覆いが取り付けられ、パンタグラフはモハ2001形と2101形の極楽橋側に下枠交差式のものが取り付けられました。

 

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2001F:2001-2051-2101-2151

 

2次車の製造

 同年6月に製造された2次車では、FRP製の前面覆いが不燃性のガラス繊維強化ポリエステル樹脂積層板に変更され、ロングシートの仕切りの形状も変更されました。なお、12次車は製造当初は旧塗装でしたが、1993(平成5)年に新塗装に変更されています。

2次車の編成は以下の通りです。

 

←難波

2002F:2002-2052-2102-2152 2003F:2003-2053-2103-2153

 

3次車の製造

 大運転急行では2両増結を行うため、1992(平成4)年にモハ2001(cM)-モハ2151(Mc)2両編成も製造されました。3次車以降では製造当初から新塗装とされ、座席の色はワインレッドからグレーに変更、下り山側の扉の横に車いすスペースが設置されました。また、2両編成ではモハ2001形にパンタグラフ2基設置されました。

3次車の編成は以下の通りです。

 

←難波

2031F:2031-2181 2032F:2032-2182

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(↑2044F真田赤備え列車と2045F極楽橋駅にて)

 

4次車の製造

 1994(平成6)年には4次車が製造されました。乗務員室側開戸上部に水切りが設けられ、車体外側の車番の大きさが変更されました。

4次車の編成は以下の通りです。

 

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2033F:2033-2183 2034F:2034-2184

 

5次車の製造

 1995(平成7)年に5次車が製造されました。先頭車乗務員室側を除く車端部にクロスシートを設け、ロングシート部分も16人掛けから14人掛けに減らすことで扉付近のスペースを確保し、乗降時間短縮を図ったほか、5次車以降の4両編成ではパンタグラフの位置がモハ2001形に2基設置に変更されました。

5次車の編成は以下の通りです。

 

←難波

2035F:2035-2185 2036F:2036-2186

2037F:2037-2187 2038F:2038-2188

2039F:2039-2189 2041F:2041-2091-2141-2191

 

6次車の製造

 1996(平成8)年に6次車が製造されました。仕様は5次車に準じています。

 

←難波

2040F:2040-2190

2042F:2042-2092-2142-2192

2043F:2043-2093-2143-2193

2044F:2044-2094-2144-2194

 

7次車の製造

 1997(平成9)年に7次車が製造されました。列車種別選別装置と列車無線装置を解体発生品の流用とした以外は56次車からの変更はありません。当初は22000系を改造した22003本を大運転に継続使用する予定で、共通運用にしていましたが、2000系と併結した際の相性が悪く、22003本も2000系に置き換えることになりました。しかし、2両編成の30番台に空き番が無く、40番台は4両編成、50番台は中間車で使用されていたため、空き番だった20番台が使用されました。このような現象は7100系中間車でも起こっています。

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(↑2045F 極楽橋駅にて)

 

7次車の編成は以下の通りです。

 

←難波

2045F:2045-2095-2145-2195

2046F:2046-2096-2146-2196

2021F:2021-2171 2022F:2022-2172

2023F:2023-2173 2024F:2024-2174

 

 2000系は最終的に21000系と22000系の合計と同じ64両が製造され、大運転の急行や臨時特急で活躍しました。

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(↑2044F真田赤備え列車 九度山駅にて)

 

☆朝ラッシュ急行撤退・平坦運用進出

 ズームカーは山岳区間に乗り入れができる一方で、2扉車のため乗降に時間がかかりラッシュ時には支障をきたしました。このため当形式は2003(平成15)5月のダイヤ改正で朝ラッシュ時の急行から撤退し、山岳区間に入らない各停や区急の運用にも就くようになりました。また、35年ぶりに復活した快速急行に充当されるようにもなりました。

 

☆系統分離による休車・南海線進出

 2005(平成17)10月の改正では新型ズームカー2300系の導入でほとんどの急行が橋本止まりとなり、高野山方面へは橋本で乗り換えするように系統が分割されたため、半数近い2000系が余り、休車になりました。しかし、2007(平成19)8月の南海線ダイヤ改正で一部の編成が南海線に転属し、普通運用に就いています。

 

☆現在

 現在は13次車全車と2042F2043F南海線、それ以外の編成は高野線で活躍しています。また、2044Fは真田赤備え列車のラッピングが施されています。

 

※参考文献

車両発達史シリーズ 南海電気鉄道 下巻

鉄道ピクトリアル 特集 南海電気鉄道

 

執筆:No.7212

校正:編集長(No.7005)