南海10000系(車両研究紹介・南海その7)
☆10000系とは?
10000系は旧1000系四国号を置き換えるために1985(昭和60)年から1992(平成4)年にかけて製造された座席指定の特急用車両です。30000系こうやをベースとして車体は普通鋼で20m級とし、運転台側を貫通構造とするなど南海線仕様にされました。ただし、電動機・制御器などは旧1000系からの流用で、抵抗制御であるため同時期製造の9000系とは連結できません。
(↑10008F。 二色浜駅にて)
☆1次車の製造
1985(昭和60)年11月から新型車両による特急が運転されるため、10月に以下の編成が竣功しました。編成は10001形(Mc)と10901形(Tc)によるcMTcの2両編成で、Mcに下枠交差型のパンタグラフが2基設置されました。
←難波
10001F:10001-10901 10002F:10002-10902
10003F:10003-10903 10004F:10004-10904
列車名は「サザン」と名付けられ、10000系2編成連結した全車座席指定および7000系または7100系4両+10000系2両の一部座席指定の運転が開始されました。
☆2次車の製造
1986(昭和61)年にサザンの増発と予備車確保のために2次車が製造されました。
2次車の編成は以下の通りです。
←難波
10005F:10005-10905 10006F:10006-10906
10007F:10007-10907
2次車が製造され、1987(昭和62)年には3編成連結した6両編成の全車座席指定サザンの運転も開始されました。
☆3次車の製造
1989(平成元)年には3次車が製造されました。3次車の新製にあたっては電話機やゴミ箱が設置され、1・2次車にも設置されました。
3次車の編成は以下の通りです。
←難波
10008F:10008-10908 10009F:10009-10909
10010F:10010-10910
☆4次車の製造
サザンではこれまで一部座席指定車としては指定席2両でしたが、満席になることが多かったうえトイレの設置の要望も多かったため、10000系を4両固定編成化することになりました。このため、まず10007F~10010Fの中間車が1992(平成4)年に竣工しました。新塗装で登場し、機器は旧1000系の流用ではなく新製されました。また、車内では座席の中央部肘掛・足掛の新設、シートピッチの拡大とLED式車内表示器が設置され、天井灯は半間接照明とされました。中間車には10101形(M)と10801形(T)があり、中間車同士の連結面寄りにトイレとサービスコーナー、自販機が設けられました。
10007F~10010Fは先頭車も新塗装にされ以下のように組成されました。
←難波
10007F:10007-10807-10107-10907
10008F:10008-10808-10108-10908
10009F:10009-10809-10109-10909
10010F:10010-10810-10110-10910
(↑旧塗装に復刻された10004F。 岸和田駅にて)
☆中間車化改造
10001F~10003Fは10004F~10006Fの中間車として組み込まれるため、中間車化改造が実施され、トイレ・サービスコーナーの設置と車内案内装置の取付などが行われました。
車番変更は以下の通りです。
10001→10104 10901→10804
10002→10105 10902→10805
10003→10106 10903→10806
また、10004F~10006Fは以下のように組成されました。10007F~10010Fと同様新塗装に塗装変更されています。
←難波
10004F:10004-10804-10104-10904
10005F:10005-10805-10105-10905
10006F:10006-10806-10106-10906
☆12000系の登場と廃車
4両固定編成化以降は大きな変化はありませんでしたが、2011(平成23)年に12000系「サザン・プレミアム」が登場し、2012(平成24)年に10006F、2013(平成25)年に10005Fが廃車されました。他の編成についても機器が旧1000系の流用で老朽化が深刻なうえ、現在7100系以外とは併結できないため、7100系の減少に伴って順次置き換えられるものと思われます。また、サザンの全車座席指定車での運転は2009(平成21)年10月のダイヤ改正で終了になっています。
執筆:No.7212
校正:編集長(No.7005)