<特集> 2016年春ダイヤ改正阪急神戸線②<詳細分析編1> (特集第一号・番外編その3)

今回は、本日よりHPで見られるようになった阪急の時刻表をもとに、記事(本編第13回)で触れていた不確定要素が実際にはどうなっているのかなどを確認していきます。なお前回の京阪編同様、1回にまとめると量がとてつもなく多くなりますので、今回は平日朝ラッシュ時の基本的な運転形態に関してのみ述べます。

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2/24よりダイヤ改正のヘッドマークが取り付けられた1002F。＠西宮北口

[平日朝ラッシュ時]

①改正後の上りラッシュ時の基本的な運転形態

　今回の改正の大きな変更点の一つといえるのが通勤特急の増結作業中止でしょう。具体的には従来新開地始発の通勤特急(8両)に神戸三宮駅で2両を増結して10両編成で運転していたところを、神戸三宮始発に変更して全区間10両編成で運転するようになります。

　また、通勤急行の増結作業中止も行われます。従来は5本のうち真ん中の3本が西宮北口駅で2両を増結して10両編成となっていましたが、これはなくなります。これにより2両の増結用編成が何編成か余ることが予想されるため、転用が行われるか注目されます。

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改正後は見られなくなる10両編成の通勤急行。 @神崎川駅 2015/7/24

　この時間帯の上りの通勤特急に関しては、西宮北口駅での発着ホームが3号線(内側、降車ホームなし)から4号線(外側、降車ホームあり)に変更されます。従来は接続する通勤急行が増結作業のため4号線でしか発着できず、通勤特急は3号線に発着していましたが、通勤急行が増結しなくなるため3号線に入線できるようになり、入れ替わって通勤特急が4号線に入線できるようになるという具合でしょうか。4号線発着となることで混雑する通勤特急についてある程度の乗降分離が行えるようになるため、駅のホーム・階段の混雑緩和を図るとのことです。

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西宮北口駅3号線に停車する通勤特急梅田行き(10連)。 2015/10/29

　なお、通勤特急が神戸三宮始発となるかわりに、従来神戸三宮始発だった通勤急行は高速神戸始発ないしは新開地始発に変更されます。また、普通も一部が高速神戸始発ないし新開地始発となるため、高速神戸→神戸三宮の7時台の運転本数は7本から9本に、8時台の運転本数も10本から11本に増発されます。

　通勤特急が神戸三宮始発となったのは、併結作業を減らし、関係する車両の運用を固定するための意味合いが大きいと思われますが、神戸三宮始発の優等列車(=梅田先着列車)ができることで、着席サービスも提供することになるでしょう。JRも阪神も、三ノ宮・神戸三宮始発で大阪・梅田へ1本へ向かう列車はありませんから、ここはセールスポイントとなりえるのではないでしょうか。

　一方で、特急については新開地発着を維持(但し、朝ラッシュ時最後の特急は高速神戸始発に変更)するため、山陽・神鉄方面からの客にも一定の配慮を残したといえます。また、本編のときに特急の増結については残る可能性が高いのではないかと述べましたが、時刻表で特急のうち3本において神戸三宮駅で長い停車時間が確保されていることと、鉄道ピクトリアル4月号に記載されていたダイヤグラムから、特急の増結は維持される見通しであることが分かりました。

　なお、色々と変更点を書きましたが、神戸三宮以東においては、基本となる運転パターン自体は変更されません(時刻の若干の修正はあり)。1本だけある武庫之荘始発の各駅停車も従来どおり設定されます。

②改正後の下りラッシュ時の基本的な運転形態

　下りについても変更があります。まず、梅田発7:45～8:45においては、基本的に約15分おきに特急1本、通勤特急1本、急行西宮北口行き1本、普通2本が運行されています(この他に回送が1本あり)。それより前の時間帯は8分ごとに通勤特急1本、普通1本が運転されており、梅田発9時台前半は約10分ごとに通勤特急1本、普通1本が運転されています。

　改正後は、この特急や急行がなくなり、梅田を9:20までに発車する全ての下りの優等列車が通勤特急になります(西宮北口5:39発特急新開地行きは例外)。これに伴い急行西宮北口行きのほかに、特急神戸三宮行きも消滅することとなります。また、平日朝の急行神戸三宮行きもなくなります。その代わりに回送の設定数は増えるものと思われます。

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改正により夜間のみの運転となる急行神戸三宮行き。 @西宮北口駅 2015/9/24

　改正後の朝ラッシュ時の運転パターンは、1サイクル(6時台は約15分、7・8時台は約8分、9時台前半は約10分)に通勤特急と普通が1本ずつ運転されるシンプルなダイヤとなります。7・8時台においては、待避が園田と六甲で行われ、西宮北口では行われないパターンも従来どおり引き継ぎ、一部の普通が西宮北口で分断される点も継続されるほか、時刻も7時台についてはほぼ現状どおりとなります。

　なお、上りでは通勤特急・通勤急行の増結作業がなくなりましたが、下りにおいては解結作業が全て廃止される見通しです(鉄道ピクトリアル掲載のダイヤグラム等を参考に判断)。通勤特急神戸三宮行きとして折り返すもの以外は回送として折り返すことが予想されます。

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増結用の2両編成　2015/09/24＠西宮北口

(補足)10両編成の設定数について

①・②でいろいろと変更点を書きましたが、10両編成の設定数は結局どのように変化したのかをまとめてみます。

<改正前・上り>

	神戸三宮～西宮北口	西宮北口～梅田
特急	3本
通勤特急	7本
通勤急行	0本	3本

<改正前・下り>

	神戸三宮～西宮北口	西宮北口～梅田
特急	3本(±0本)
通勤特急	8本(+1本)	9本(+2本)
通勤急行	0本	0本(-3本)

<改正前・下り>

	梅田～西宮北口	西宮北口～神戸三宮
特急	4本	4本
通勤特急	4本	1本
合計	8本	5本

<改正後・下り>

	梅田～西宮北口	西宮北口～神戸三宮
通勤特急	4本(-4本)	5本(±0本)

　改正後は通勤急行の増結がなくなるうえ、下りについても10両編成が営業運転ではなく回送で走ることが多くなりますので、確かに増結本数は減っています。一方、上り通勤特急に限ると増結本数が増えています。これは西宮北口6:52発(これについては次回触れます)と神戸三宮6:53発が新たに10両編成となったことによるものです。また下りにおいても10両となる通勤特急の時間は全体的に早まっています。運用上の都合というのも大きいですが、この背景の一つとして、「朝ラッシュ時間帯のピークが早まりつつあること」があげられるかもしれません。これについては阪急電鉄の担当者が鉄道ピクトリアルで述べていましたが、これが事実なら今回の改正はその意味で理にかなっているともいえます。

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