JR西日本長距離列車に関する考察Ⅱ【関空アクセスと南紀地方】(起稿班研究第五号・その2)
前回(北陸地方編)はこちらです↓
①関空アクセス
JRの関空アクセス電車は、米原・京都から梅田貨物線を経て関西空港に至る特急「はるか」 と、大阪環状線から関西空港に走る「関空快速」があります。「はるか」は毎時2本、「関空快速」は毎時4本運転され、利便性は高いです。
関空アクセスでは南海電鉄と競合しており、「はるか」の関西空港~天王寺間と南海「ラピートB」関西空港~新今宮間を比べると、次の表のようになります。
|
はるか |
ラピート |
所要時間 |
32分 |
34分 |
運賃 |
2230円 (指定席) |
1430円 (レギュラーシート・指定) |
所要時間はほぼ同じですが、運賃は「はるか」が割高となっています。
しかし、「はるか」は新大阪・京都に直通していて、この点で有利であるといえます。問題点としては、大阪と関空のアクセスが良くないということが挙げられますが、これは後述の北梅田駅開業によって解消されるでしょう。
②南紀地方
現在、南紀地方へは京都・新大阪から「くろしお」が原則毎時1本白浜・新宮まで運行されていて、新大阪~白浜間を最短2時間17分、新大阪~新宮間を最短4時間4分で結んでいます。
JRは、「くろしお指定席往復きっぷ」の発行など、観光客向けのサービスを数多く展開していますが、白浜、新宮などの駅の乗降客数は減少傾向にあります。今後、南紀への観光客を増やせるかがカギを握ってきそうです。
本来は観光客向けの特急ですが、普通・快速電車と特急電車との格差が広がったことなどにより、通勤利用も多くなっているようです。
③梅田貨物線地下化計画
現在、「はるか」と「くろしお」は、大阪環状線から新大阪に向かう際、梅田貨物線を通っています。しかし、これでは大阪駅を経由できず、大阪駅からの関空、南紀へのアクセスには改善の余地がありました。さらに、この路線には踏切があり、交通渋滞の要因となるうえ、「うめきた」再開発の弊害となります。
そこで、梅田貨物線を地下化しようという計画があり、その際にグランフロント大阪付近に北梅田駅(仮称)を設置しようとしています。これにより、「はるか」「くろしお」は今まで通過してきた梅田地区に停車することができ、利便性はかなり向上すると思われます。早期の開業が望まれるところですが、JR西日本は、この新駅開業・梅田貨物線の地下化は2035年春完成予定としています。
ちなみに、北梅田駅にはこの他になにわ筋線・おおさか東線が乗り入れする計画があります。なにわ筋線は、需要は高いと見込まれますが、建設費用の高さなどから実現はハードルが高いと思われます。おおさか東線に関しては、北梅田延伸は確実であると思われます。ただ、おおさか東線が北梅田まで延伸された場合に、淡路、都島などへJRで行く乗客が多いかは疑問ではあります。
次回は「兵庫県北」と題して考察します。
執筆:No.7405
校正:編集長(No.7005)
写真:副編集長(No.7203)