灘校鉄道研究部公式ブログ

灘中学校・灘高等学校鉄道研究部公式です。ご質問などはコメントにお書きいただくか、nrcofficial@gmail.comまでメールをお願いします。

11.東北道中鐵栗毛 Vol.4:四日目 【2020年灘校鉄道研究部部誌「どんこう」】

4日目前半―金沢~七尾

 いつの間にか北陸に来てしまいました。今日は月曜日、通勤ラッシュの時間帯です。とりあえずコンコースのセブンイレブンで朝ご飯を買いホームへ。古そうな電車がようけ止まっておりますが、その内の一つ、七尾行の普通電車に乗り込みます。車内は座席が埋まる程度の混雑。ほとんどが学生です。

f:id:nrcofficial:20200504121549p:plain

 津幡で北陸本線もといIRいしかわ鉄道と別れると、すぐにデッドセクションを通ります。IR線は交流電化ですがこちらは直流電化です。津幡、中津幡本津幡の津幡3連チャンを過ぎると列車は能登半島の西側を進み、羽咋市を目指します。羽咋を出ると能登半島の山々の隙間を通るようにして東側へ抜け、七尾に到着です。

 

4日目後半①―七尾~和倉温泉~金沢~加賀温泉(泊)

 お昼時まで時間があるので小丸山城址公園へ行ってみます。前田利家能登一国の国持大名になってから、加賀に領土を加増されて金沢へ本拠地を移すまでの間、ここが前田領の政治経済の中心地だったそうです。残念ながら我々は日本史のお勉強より海鮮丼の方が好きなので城址公園をそそくさと後にし、道の駅「能登食祭市場」に向かいます。道の駅でレストランの開店を待っていると、部長が「ゴーゴーカレー食べるわ」といって金沢へ帰ってしまいました。部長さんの冒険は後述されているのでお楽しみに。ゴーゴーカレーは関西でも食べられるんですけどねえ。ということで残った3人で海鮮丼をいただきます。少々値は張りましたが、中学の野外活動で金沢の近江町市場へ行ったときに3000円ののどぐろ(・・・・)丼を食べて破産し、ろくにお土産を買って帰らなかった僕に怖いものはありません。

f:id:nrcofficial:20200504121601p:plain

 海鮮丼を堪能して駅に戻り、金沢へ戻るみやまき君をお見送り。もっとも数時間後には金沢で再び会うことになるのですが…。

 さて、かえる君と僕は駅前に止まっていた北鉄バスに飛び乗り、和倉温泉へ向かいます。15分ほどで到着し総湯へ。新しく綺麗な建物です。さらっとしたお湯で汗を流し、湯上りの牛乳と洒落込みます。最高以外の感想が思い浮かびません。自動販売機に瓶詰めのR-1が売っていることに驚きつつバス停に戻り再び七尾駅へ。部長さんは温泉レポートに1ページ費やしていた気がしますが僕は3行ですのでお詫びに宣伝をします。さらっとしていてとても心地よいお湯でしたよ!大阪から直通の特急も出ていますので、皆さん次のお休みは和倉温泉へどうぞ! 以上。

 七尾からはまた古い電車に揺られて金沢へ戻ります。ちょうど学生の下校時間であったため、金沢近郊では満員電車になりました。金沢に着くとみやまき君のお出迎えが。彼は2分後の敦賀行に乗って今日中に帰阪します。ということでもう一度お見送りをして、かえる君と僕はいったん改札の外に出ます。

f:id:nrcofficial:20200504121613p:plain

 乗車予定の福井行までまだ2時間近くあるので金沢のローカル私鉄、北陸鉄道浅野川線に乗ってみることにします。金沢駅前広場の地下にひっそりと佇むホームから、元々京王電車で使われていた車両でしょうか、いかにも古めかしいデザインの2両編成の電車が発車します。車内は意外、と言っては失礼ですが学生や退勤客で混雑しています。北陸鉄道の大半の路線はすでに廃線になっていて、現在は2路線20.6kmが残るのみです。この2路線だけでも地域密着型のローカル路線として末永く存続してもらいたいものです。そんなことを言っている間に、電車はトランポリンよろしく上下に跳ねながら進み、あっという間に終点の内灘駅に着きます。駅からしばらく歩くと内灘海岸という砂浜がありますが、冬の夜の日本海を見に行く勇気はないので、乗ってきた列車でそのまま金沢に引き返します。しばらく駅ナカをうろうろしてから改札に入り、福井行の列車に乗ります。

 退勤ラッシュでしたが何とか着席できました。加賀温泉までもうひと頑張りです。各駅で降車客があり、小松を出ると車内は空席が目立つようになりました。難読駅名の動橋(いぶりはし)を通って絶賛工事中の加賀温泉に到着です。

 ホームには「工事中のため改札まで1分かかります」などと書いてあります。えっちらおっちら改札まで歩いていくとプレハブの駅舎が。これが数年後には立派な新幹線の駅に生まれ変わるとは到底思えません。大阪からサンダーバードで来た後輩と合流し、バスで山代温泉へ向かいます。宿に荷物を置いたら急いで晩御飯を食べに行きます。温泉街のレストランって店じまいが早いですよね。宿で晩御飯を食べる人が大半でしょうからそれでいいんですけれども。宿へ帰って汗を流してUNOをして就寝。

4日目後半②―七尾~金沢~加賀温泉敦賀~京都~大阪

 いきなり別行動となった部長です。まず、何故急にゴーゴーカレーに走ったかをご説明いたします。私はこの日、加賀温泉に入ることを最も楽しみにしていました。このまま海鮮丼を食べると、1時間に1本しか来ない列車とバスのせいで温泉に入れる時間が1時間ほどなのですが、今駅に戻ると1本前の列車に乗れるので2時間温泉を楽しめます。そこで、ダッシュで金沢に戻り、加賀温泉駅で手早く食べられるゴーゴーカレーを食べ、温泉に行こうと考えたわけです。ちなみに、加賀温泉固執するのは、もちろん温泉が好きだからというのもありますが、実は、私のライフラインであるゲーム「艦これ」に登場するキャラの「加賀」さんと名前や由来が被っているからなのです!オタクは推しと名前や色が被っているだけで運命を感じてしまう愚かな生き物です。

 そういうわけで早速金沢へ帰還します。出発を待つ間、隣のホームに観光列車の花嫁のれんがやってきました。見るからに豪華な列車からは多くの観光客が出てきます。観光列車は流石の集客力がありますね。また、今気づいたのですが、接近メロディがなんと一青窈さんのハナミズキになっているではありませんか。いきなり私の大好きな曲が流れてくるので驚きました。駅のご当地メロディって印象に残りやすいので旅の思い出に彩が増えますよね。この音源は目覚まし用に撮っておきました。穏やかな田園の中を暖かな日差しと共にゆったり走る列車、もちろん眠くならない訳がありません。おやすみなさい。

 金沢駅に帰ってきました。20分の乗り換え待ちの間に、新しくできた鼓門を見に行きます。どこかでこの駅が世界の美しい駅ランキングに入賞したと見ましたが、確かにフォトジェニック的にはいい感じです。写真を撮ってホームに向かうと、列車待ちで長い行列になっています。ここまで並んでいたのは東京以来です。しかしやってきた列車はまさかの2両編成。車内はぎちぎちです。ここから加賀温泉までは1時間あるので座りたかったのですが、近くの地元民から「福井まで空かないだろうね」と驚きの会話が聞こえてきます。やはり冬休みだからなのでしょうか、結局1時間立ちっぱなしで目的地に到着です。ところで、この北陸本線の隣では金沢から大阪への新幹線の高架が建設されていました。現在は特急でおよそ2時間40分かかり、一般客にとっては日帰りにはやや厳しい時間です。新幹線なら日帰りも可能になるので、より便利になりますね。

 加賀温泉駅に到着です。現在は新幹線駅建設のため、この駅も改装中でした。既に午後3時前ですが金沢カレーを食べに行きます。噂に聞いたフォークで食べるカレー、カレーはドロドロ派の私、食べない手はありません。いわんぐ君の言う通り関西にもあるのですが、実際は京都か姫路まで行かなければなりません。訪れたのはゴーゴーカレーではなくカレーのチャンピオン金沢カレーの二大チェーンです。広い店内には私ただ一人。お昼時をとっくに過ぎているので当然ですね。出てきたのは大きなカツの乗った濃い色のカレー。フォークで食べられるほど濃厚な、コクのあるとっても美味しいカレーです。今はヘルシーなスープカレーが流行っていますが、いつかはドロドロが天下を取ると私は信じています(何)。

 ここ加賀温泉郷は、鳴子温泉郷と同じく五つの温泉地に分かれており、その中の一つ、今から向かう山代温泉はバスに乗らなければならないのですが、なんとあと10分で駅を出発してしまいます。これを逃せば次は40分後、海鮮丼を捨てた意味がありません。しかし急いでもここから駅まで15分かかります。カレーをゆっくり食べ過ぎてしまいました。実はカレーのチャンピオンの目の前にもバス停はあるのですが、完全にパニックの私は全く気が付きません。救いようがありませんね。結局バスには乗れませんでした。駅前の交差点で通り過ぎるバスを見た時は絶望しましたよ。これから30分、歩いて行ける範囲には田んぼしかないので、ベンチで待ち続けます。

f:id:nrcofficial:20200504121626p:plain

 やっとの思いで山代温泉に到着です。旅館が立ち並び、いかにも温泉地という雰囲気を感じます。今回入浴するのは古総湯という共同浴場。これは明治時代の浴場を再現したもので、昔の銭湯を保存し展示する施設は各地にありますが、実際に入浴することで体験しようという試みの温泉です。外見は木造の二階建てで屋根がこけら葺きになっており、古風ながら完成して間もないので綺麗です。券を購入し浴室に入ると、広い部屋の中央に湯船が一つ、ただそれだけです。脱衣所はなく、浴室の壁に正方形の棚があるだけで、仕切りはありますが腰ほどの高さです。当時最先端だったステンドグラスからカラフルな光が、地元名産の九谷焼で作られたタイルの床に反射しています。この時間古総湯を訪れていたのは私一人、贅沢にもこの美しい温泉を独り占めです。ここでは、当時の湯あみという浸かって楽しむだけのスタイルが適用されており、洗い場はもちろん無く、石鹸も使用禁止です。弱アルカリ性の湯は、加水によって薄まりすぎないよう熱く設定されています。シンプルで何とも心安らぐ空間。現代のように豪華な温泉とは真逆の、癒しの本懐に近い素敵な浴室です。そして、ここの利用客は二階にある休憩室を利用できます。畳敷きの部屋で四方をステンドグラスの扉に囲まれており、開けると心地よい風が吹いてきて火照った体を冷ましてくれます。気を抜くと寝落ちしてしまいそうな完璧な居心地。古総湯、一生に一度は行っておくべき温泉です。   

 ちなみに山代温泉は温泉卵も名物の一つ。話のネタに、ネットで話題の温泉卵アイスを食べてみることにします。温泉卵アイスは、その名の通りバニラアイスの上に醤油ダレと温泉卵を乗せたもの。どんなゲテモノかと思いましたがこれが案外美味しい。いわゆるあまじょっぱいタイプで、アイスと卵のダブルパンチでとっても濃厚になっています。名物として売り出すだけのことはありました。

 あわよくばもうここに泊まっていきたかったのですがそんなわけにもいかず。東北旅行のメインはここで終了。後ろ髪を引かれる思いで駅に向かいます。ここで一緒に帰るみやまき君と車内で合流。昼間とは打って変わってガラガラです。敦賀に到着。湖西線で京都まで一気に南下します。久しぶりに見慣れた車両に乗りました。いよいよ終わりも近くなってきましたね。湖西線は駅も列車も少ないので普通電車でも速く感じます。それとも今まで乗ってきた列車が遅すぎたのか?いつも通りワープ(寝落ち)で京都に到着です。ここまで来ればもう早い。あっという間に家に帰ってきました。とはいえもう体は限界。片付けもそこそこにおやすみなさい。