灘校鉄道研究部公式ブログ

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1.夏期取材旅行の記録 Vol.10:四日目後半[しらかみ班] 【2020年灘校鉄道研究部部誌「どんこう」】

日目 29日 後半

しらかみ班

 青森からは大湊線班に行っていた部員の一部と合流してしらかみ班として秋田を目指します。大湊線からしらかみ班に参加する部員は先に車内で待っていますが、筆者含めた津軽線班だった部員は青森での乗り換え時間が4分しかないので急ぎます。そして無事に全員乗り換えができ、ここで初めて班員全員がそろった形となりました。14時5分、すぐに弘前行きの発車となります。車両はまたもや701系。東北はこればかりです(2回目)。この区間奥羽本線となり、列車もかなり速度を出しています。車内でここまでにあったことなどをお互いに話しているうちに14時38分、あっという間に川部につきました。ここで観光列車快速リゾートしらかみ4号秋田行きに乗り換えです。

 

 跨線橋を渡ると今回乗車するリゾートしらかみ青池編成が既に停車しています。リゾートしらかみは3編成あり、今回の青池編成の他に橅編成とくまげら編成があります。定期検査などで車両が不足する際には元青池編成の五能線クルージングトレインが使用される場合もあります。リゾートしらかみ4号は青森駅が始発駅なのでそこから乗るのが一般的ですが、我々津軽線班の青森到着が14時1分だったのに対し、リゾートしらかみ4号の青森発車時刻は13時51分と10分間に合いません。しかしリゾートしらかみ奥羽本線をもう2駅南に行った弘前駅まで一旦向かい、そこで折り返して川部に戻ってくるという運行形態です。この2駅進んで戻ってくる時間があるため14分後に青森を出る列車でも川部で追いつくことが出来るというわけです。

 早速車内に入っていきます。車内の座席タイプは2種類あります。1、3、4号車は座席間隔がゆったりとした4列のリクライニングシートが並ぶタイプ、2号車は4人用のボックスシートが並ぶタイプとなっています。筆者が乗車したのは2号車、ボックスシートタイプです。このボックスシートは4人用とはいえどもかなり広いものとなっていて6人程度なら簡単に座ることが出来ます。また、この座席は座席をフルフラットに組み変えることができ、フルフラットにすれば完全に寝転ぶこともできます。かなり快適な車内ですので4時間の長時間乗車も苦になりません。

車内をいろいろ見ていると気付かぬうちに列車は川部を発車。川部から鰺ヶ沢の間は快速列車といった感じではなくぽつぽつとこまめに停車していきます。途中の五所川原では津軽鉄道との分岐駅で津軽鉄道の車両も見られます。鰺ヶ沢駅を出ると海沿いを約2時間の間走り続けます。15時58分、千畳敷駅に到着。ここでは15分間の停車があり、乗客たちは海辺を自由に散策することが出来ます。

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 秋田県から青森県日本海側を経て北海道渡島半島までは火山活動や地震が多かった場所で、地震の記録も多く、近年プレートの境界が発見されるなど地殻変動の激しい場所です。千畳敷のあるここ深浦町は、幾度となく隆起をくり返しており、五能線五能線に沿う車道から、きれいな海岸段丘の階段が観察されます。千畳敷もこの段丘面の一つです。部員たちは海岸ぎりぎりの所までいったり、景色を撮影したりと思い思いの時間を過ごしました。一部の部員は手前の砂浜で「NADA RAILWAY CULB」と部の英語名を書いていました。この行事も2016年の北海道北豊津駅付近の海岸、2018年の室戸岬、そして今回の千畳敷と3回目を迎えており我が部の伝統と化しています(?)

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 15分という時間は短いものであっという間に過ぎます。発車の3分前に列車が大きな警笛を鳴らします。これを合図に乗客たちは列車に急いで戻ります。車掌さんが千畳敷に残っている乗客がいないかのチェックをしていました。16時13分、定刻通り千畳敷を発車します。ここから約1時間半の間海沿いを走り続け、良い車窓も多く見られる区間となります。ただ、残念なことに窓ガラス越しに見える風景がかなり暗いものとなっています。決してこの日が曇天だったのが理由ではありません。最近の新しい車両の多くが窓ガラスにUVカットガラスを使用しています。この車両も例外ではなく、UVカットガラスの特性として外の景色が暗く見えてしまうのです。五能線は景色の良さで知られる路線ですが、純粋に「五能線」を楽しみたいのならば普通列車に乗車する方が楽しみやすいと思われます。リゾートしらかみは観光列車であり、それは五能線の車窓を楽しんでもらうことではなく、五能線沿線を観光してもらい、そこまでのアクセスとして「快適な」移動環境を提供することが第一の目的であるようにもとれます。実際、一部の便では津軽三味線の生演奏などがありますが、今回乗車した便にはその類のものは全くなく、アテンダントのガイドがあるわけでもなく、唯一の観光列車らしいものが15分の千畳敷での散策時間だったのです。

このような訳で車窓を楽しむのはそこそこにして終点の秋田までの間は「快適な」移動環境を満喫することにします。皆でトランプをしたり、フルフラットになった座席に寝転がってゴロゴロしたりします。とはいえ、ボックスシートをフルフラットにできる機能は使い勝手が良く、快適にのんびりとした時間を過ごせ、大変よい乗車となりました。他の線区でもこのような車両を特急列車などに繋げて走らせて欲しいものです。グループや家族連れにはこの座席はかなりおすすめです。

秋田に18時56分に到着。すぐに宿に向かいます。道中では灘校生お馴染みの油そば屋を見つけ、少し驚き。宿に着いた後は集まった部員約15名と鉄研OBの方、そして顧問の先生一人と秋田名物のきりたんぽを食べに行くことに。

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 料理が出てくるのが遅めだったのであっという間にミーティング開始時刻ギリギリに。宿まで慌てて戻り何とかミーティングには間に合いました。その後はミーティングを行い、宿の構造上あまり部屋で話すこともできず、翌朝も早いので少し早めに就寝。鉄研旅行、残すは2日です。

【文責 高校2年 No.7410】