灘校鉄道研究部公式ブログ

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中国山地を縦断!【18きっぷで巡る西日本旅行記】第1部~兵庫県北を巡る旅~

前回の続きです。

5 いよいよ中国山地に突入

 鳥取駅。非電化の高架駅という面白い駅ですね。時間があれば外に出て散歩でもするのですがすぐに乗り換え列車があります。夕食に駅弁を買いまして、因美線の列車に乗車。

  鳥取  16:58

  ↓普通/智頭行(因美線

  智頭  17:48

(※これより、執筆当時の記述です。)

 因美線智頭駅で南北に大きく分けることが出来まして、基本的に北部は南部よりも便数・線路の規格共に良くなっています。この要因の一つが、智頭急行線の存在です。智頭急行線は智頭と上郡(山陽本線)を結ぶ第3セクターの鉄道会社なのですが、この路線から智頭を経て因美線に直通し鳥取に向かう特急スーパーはくとスーパーおきが運行されています。この2列車がそれぞれ山陰と大阪近郊・岡山を繋ぐ重要な役割を担っており、そこそこの便数とスピードを維持しているため、因美線智頭以北の輸送環境が良好であるということになるわけです。

 ちなみにこの区間には智頭急行線から特急の他に普通列車の直通便も運行され、郡家以北は若桜鉄道からの直通便も存在するため、多様な車両が行き交っています。私が乗車した列車も途中駅で若桜鉄道の観光向け車両「昭和」とすれ違いました。この「昭和」はJR九州の豪華寝台列車ななつ星in九州を手掛けたことで有名な工業デザイナー、水戸岡鋭治氏がデザインした車両で、水戸岡氏らしい木材を多用したレトロ調の内装となっています。夜の車窓に柔らかな暖色の照明が異彩を放っていました。

さて、旅行記に戻りますが、車窓はもうすっかり夜になりました。では何も見えなくて面白くないかというと決してそうではなくて、徐々に積もっている雪が増えてきています。民家や畑に積もった雪と家々、街灯の明かり。幻想的です。列車は数分遅れで終点智頭駅に到着。

  智頭  17:53

  ↓快速/津山行(因美線

  津山  19:03

 智頭駅から乗車したのは1両のキハ120。特急列車も多く走るこれまでの区間に対し、智頭以南は一日の列車本数8本という閑散区間です。私は前面の景色が見られるといいと思いロングシートとなっている最も前寄りの席に座りました。ただその時は真っ暗で前面も雪で濡れていたのであまり景色を楽しむことは出来ませんでした。出発して少しするともう寝てしまっていました。

 津山まで半分くらい来たところでしょうか。突然の「ドン」という音に目が覚めました。「何があったんだ?」と考える間もなく列車が非常ブレーキで停止。運転士の方の放送を聞く限り「木にぶつかった」とのことでした。毎日列車が走っている線路でどうして木にぶつかるのか、というところですが、木が倒れてきていたのでしょうか。さて、運転士の方が携帯電話などで保線作業の手配でしょうか、連絡を取ると、状況の確認に列車後面の扉をあけ、雪が降る中外に出て行ってしまいました。運転士の方は大変でしょうが、営業列車の前面(いわゆる「顔」)の扉が開くって、そう見ない光景ですよね。しばらくすると運転士の方も戻ってこられまして、運転再開です。夜だったので長引くと嫌だったのですが、とりあえず良かったです。このまま列車が動かなかったらどうしようかと思いました。ところで運転士と携帯電話で話していた相手の会話が結構フランクな感じだったのが印象的でしたね。知り合いだったのでしょうか? 近畿の大規模な指令所と運転士の会話とかだと知らない方同士でしょうし(私は運転士事情に詳しいわけではないですけど、多分そうでしょう。)遠くへ来たなぁ、と感じるときでした。

 運転再開して津山に向かうのですが、先ほどこの列車の種別を「快速」とご紹介したことを覚えていますでしょうか。そうなんです。快速。一日8本しか列車の走らない区間で快速なんですね。三浦・美作滝尾の両駅は通過します。列車本数がこんなに少ないのに駅を通過して大丈夫なのかと思うのですが、恐らく乗降客数が少ないので停めても仕方がない…ということなのでしょうか? ちなみに三浦・美作滝尾両駅の2016年の1日の平均乗降客数はそれぞれ15人と39人(Wikipediaより)。乗降客数は右肩下がりで減っているようなので現在は更に減少しているかもしれません(執筆当時)。ちなみに私が乗車した列車の次の列車も快速で、先ほどの2つの駅に加えて2駅、合計4駅を通過します。乗って駅を通過する側にとっては列車が速く走ってくれることはありがたいので、気分良く駅を通過させていただきました。

 木に衝突した件がありましたので津山駅には10分強だったでしょうか…? 遅れをもって到着。いい感じに接続する津山線普通列車があったのですが乗車できなくなりました。しばらく後の快速ことぶきを待ちます。

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津山に到着したキハ120。前面には雪が付着しています。

column 「テッチャン歓迎」って?

 「テッチャン歓迎」。これはダジャレなんです。意味がわかりましたか? ダジャレと言っても、私が思いついたわけではございません。津山駅前の看板に津山の街のPR目的で張られていた広告に書いてあった宣伝文句です。この看板の背景には鉄道の扇形車庫と美味しそうに焼かれるホルモンの画像が張られています。これで意味が分かったでかと思います。鉄道マニア=「鉄ちゃん」とホルモンの肉の部位、牛の大腸を指す「テッチャン」を掛けているんですね。ホルモンは津山の名物です。B級グルメとして知られるホルモンうどん、美味しいですよ!

 しかし、なぜ津山が鉄道マニアを歓迎するのか。すぐに答えを言ってしまいますと津山界隈は鉄道の遺構、鉄道遺産で売っているんです。津山駅近くには扇形車庫を活用した「津山まなびの鉄道館」があり、因美線沿線には歴史ある駅舎等が残っています。津山駅構内を中心に、このことを大々的に宣伝する広告が見られました。この辺りは観光向けに「みまさかスローライフ列車」という列車が運行されるなど、鉄道ファンが惹きつけられるような要素も多い場所だと思います。皆さんも是非津山を訪れてみてはいかがでしょうか?

 

6 速い速い快速ことぶき

  津山  20:07

  ↓快速ことぶき/岡山行(津山線

  岡山  21:14

 20時7分、キハ40の2両編成の快速ことぶきが津山駅を発車。スピードを上げて津山線を南下します。先ほどの因美線の快速は2駅しか通過しませんでしたが、ことぶきは速いです。岡山・津山両駅間には17駅あるのですが、半分以上の駅は通過してしまいます。ディーゼルカーで高速で駅を飛ばしていくのは大変面白く、気分がいいです。在りし日の急行列車はこんな感じだったのかなぁと考えます。ちなみに「ことぶき」という列車名は、公募で沿線に「亀甲」「金川」「誕生寺」など縁起の良い駅名が多いことから決められたそうです。

 さてここで鳥取駅で購入したかに寿司を食べます。まずパッケージが山陰の駅弁って感じで良いです。ノスタルジックな感じがボックスシートにマッチします。中身はご飯にかにの身が乗ったメインに漬物が少し。かにの身は酢に漬けられていたようでイメージとは違いましたが非常に美味しかったです。

 車窓は真っ暗でしたので特に取り上げるものはありません。津山線沿線で私がご紹介できるものといえば、亀甲駅ですかね。折角なのでお話ししておきます。亀甲駅はまず駅舎が面白い。駅舎の屋根がその駅名から亀の甲羅の形になっており、さらにそこから亀の頭のオブジェが出ています。これがまた目に時計が付けられ、黄色を基調としたなんとも言えないデザインになっているんですね。私はなんか好きですが。あとついでに一つ。駅から徒歩15分ほどのところに雑誌なんかで取り上げられるような卵料理のお店がありまして、おかわり自由の卵かけごはんの定食がとてもよかった記憶があります(小学生の頃行きました。)。また行きたいです。

 なんか雑談っぽくなりましたが、長かった1日もラストスパート。岡山に到着です。全体の移動としては姫路から岡山に移動しただけですが、バリエーションに富んだ土地を巡ることができ、充実した旅だったと思います。この記事はまだまだ続いていきますがとりあえず、ありがとうございました。

 

 

執筆:No.7405

校正:No.7506