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地方鉄道経営再建の処方箋<第6回>(起稿班研究第七号・その6)

 前回までは、旅客収入を増やすことや経費をおさえるなど、本業たる鉄道業部門の収支を好転させる方向で経営再建を論じてきました。ですが鉄道会社は往々にしてレールフェスティバル(以下RFと呼びます)でのグッズ販売等非鉄道業部門のサービス業にも手を出しているケースが多いのです。鉄道業部門に好転の兆しが見えないなら、非鉄道業部門で補てんすることで少しでも経営好転に努めようとするという視点から論じるのも必要でありましょう。

 そこで今回は、種々の鉄道会社の非鉄道業部門について見ていくことにします。まずは必死のぬれ煎餅営業活動で一躍有名になった銚子電鉄について見ていこうと思います。

 銚子電鉄はその名の通り千葉県最東端の銚子市を走る全長6.4キロの小私鉄です。同社は沿線集落の過疎化によって年々乗客数が減り続け、平成に入るころには乗客数が全盛期の4割近くまで減少していて、倒産の危機に立たされていました。それに追い打ちをかけるように平成18年、当時の社長が横領をしていたことが発覚。横領の額は1億円にも達し、行政からの補助金もそのころにはすでに打ち切られていたことから、まさに経営は崖っぷち状態でした。それに加えてほぼ同時のタイミングで線路や踏切の改修(これは国交省の命令であり、改修しないと業務停止命令が出される恐れがありました)や車両の全般検査があり、しめて6000万円もの費用が必要でした。しかし同社には200万円しか貯金が残っておらず、銀行への融資依頼も社長の横領問題ですっかり信頼を失っていた同社にはどだい無理な相談で、倒産は免れないであろうと誰もが考えましが、同社のホームページに載せた「ぬれ煎餅を買ってください。電車修理代を稼がなくちゃいけないんです。」という言葉が多くの人の心を動かし、インターネットで拡散されたりテレビで報道されたりしたことで、ぬれ煎餅は爆発的な売り上げを記録し、車両の全検費用や線路や踏切の改修費用が捻出できたのでした。なお現在でも煎餅部門は銚子電鉄の経営を支えています。

 また、銚子電鉄のように経営を支えるとまではいかないまでも、置き場所に困る廃車体の貫通扉などをRFで売る(一枚数十万ほどもします)などで赤字を少しずつ埋めていく会社も存在します。非鉄道業部門はフレキシブルに動けるので、経営が行き詰った時の切り札になりやすいのです。

 また変わった例を挙げると、富山市付近を走る富山地方鉄道は地方鉄道には珍しく不動産業を営んでいたり、SLの体験運転ができるようにしたり(若桜鉄道)、全国の地方鉄道はあらゆる取り組みをしています。

 赤字地方鉄道の経営を救うキーは「フレキシブル性」かもしれません。

 

執筆:No.7409

校正:No.7212(起稿班班長)

 

起稿班研究第七号の過去記事はこちら↓

 

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