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企画きっぷを考える<第7回>(起稿班研究第六号・その7)

最終回となる今回は少し趣向を変え、乗客を閑散時間帯・列車に誘導する工夫を切符の観点から見てみたいと思います。

 

山陽新幹線の取り組み~

山陽新幹線には「さくら」、「みずほ」、「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」という4種別の列車が運行されています。この中でも各駅停車である「こだま」は、乗車率が芳しくありません。「こだま」は時間がかかるため通過利用が「のぞみ」に集中するほか、山陽新幹線は乗降客数が少ない途中駅が少ないことが理由です。

そこで「こだま」の空席利用のため、「こだま」を格安で利用できる切符が多数発売されています。価格はかなり割安で、例えば「こだま指定席きっぷ」の新大阪・広島間を例に挙げると、この切符を使用しない場合10230円であるのに対し、「こだま指定席きっぷ」を利用すると6800円。さらにはこどもの場合1500円と、破格の料金設定です。この切符ですが、先ほど挙げた新大阪、広島といった主要駅だけでなく山陽新幹線内多くの区間で発売されていて、実質上「こだま」を値下げしている、というようにも感じられます。

JRはこだまの指定席を4+4列シートにしているなどサービス向上により「こだま」の乗客を増加させようとしているわけですが、それはつまり座席数を減らしてもよい位「こだま」の乗客が少ないということになります。やはり、少しでも「こだま」に乗ってほしいというJRの考えが想像できます。

さて、これまで、これまでいくつもの切符をみて考察を進めてきましたが、企画きっぷ、トクトク切符というのは条件の設定によっては乗客の増加や宣伝効果など大きな効果を生み出します。こういったものに必要なのは利用者のことを考えた使いやすい切符であり、また、それを巧く宣伝することです。こういった切符は多くありますが、それぞれに様々な工夫がなされています。

 

~おまけ~

先日まで、山陽電車で面白いキャンペーンが実施されていました。企画きっぷを利用しているということで、紹介したいと思います。

このキャンペーンというのは、山陽電気鉄道台湾鉄路管理局の乗車券相互交流です。

まず、日本で山陽電車のフリーきっぷである「○○1dayチケット」を購入し、台湾の指定の駅に持参すれば、台湾で使用できる1日乗車券が進呈され、また、反対に台湾の1日乗車券と山陽電車の「HIMEJI TOURIST PASS」を山陽電車の駅に持参すれば、山陽電車系のいくつかの施設で利用可能な1000円優待券が進呈されます。

この企画を利用する乗客がどれだけいたのかということですが、山陽電車は特に空港アクセス路線でもない中規模私鉄であり、実際にこれを利用して山陽電車台湾鉄路管理局両社を利用した人はかなり少数でしょう。そう考えるとやはり、友好関係の確認というほか、両社の宣伝効果があったでしょう。日本では中づり広告などで宣伝されていましたが、台湾の観光というものの周知につながるほか、山陽電車の1dayチケットの広告にもなります。このような、国を超えたつながりも、面白いですね。

 

※この記事は平成29年2月から4月にかけて書いたものです。切符の販売条件など変更となっている可能性があります。ご了承ください。

 

執筆:No.7405

校正:No.7212(起稿班班長)

 

↓起稿班研究第六号の過去記事はこちらです

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