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企画きっぷを考える<第6回>(起稿班研究第六号・その6)

~空港アクセスと企画きっぷ~

 

今回は空港アクセス輸送を担う南海電鉄京成電鉄などを例に、考察を進めていきます。

南海電鉄京成電鉄は、それぞれ関西国際空港、成田空港へのアクセス路線を持つ鉄道会社です。南海はラピート、京成はスカイライナーという看板列車が有名です。両社とも、JR線が並行していて、同様に空港アクセス特急を運行するJRとはライバル関係となっています。そこでJRとの競争が行われていますが、価格面で得に移動できるトクトク切符、割引切符がいくつか発売されています。

そのなかに、「成田・関空スカイライナー&ラピートきっぷ」という切符が存在します。

 

f:id:nrcofficial:20170717222410j:plain(↑南海の空港特急ラピート。 松ノ浜にて)

名前の通り京成スカイライナーと南海ラピートの乗車券と特急券がセットになった切符で、価格は通常よりも700円安い3200円。価格はほどほどといったところでしょうか。当然、飛行機で大阪・東京間を移動する乗客へのサービスですが、遠く離れた2社がともに乗車券を発売するのは面白いですね。手軽で利便性も高いでしょう。

また、南海電鉄には「関空ちかトクきっぷ」という、大阪市営地下鉄各駅から関西空港まで、1000円で行くことができる切符もあります。こちらは乗車券のみで、ラピートの特急券はついていません。それほど割引率が高いわけではありませんが、1000円という価格設定と大阪市営地下鉄全駅から乗車可能というのが得した気分にさせます。

JRが関西空港から大阪環状線JR京都線の京都方面に直通しているのに対し、なんばまでしか路線がないのが弱みである南海に、広域に路線網が広がる大阪市営地下鉄が協力することで、利用しやすくなっています。

また、南海は阪神・阪急・近鉄などと連携して神戸、京都、奈良と関西空港を結ぶ切符も販売しています。

 

f:id:nrcofficial:20170717222804j:plain(↑JRの関空特急はるか。 美章園にて)

ここで、それに対するJRを見てみます。JRは、大阪(梅田)や新大阪、京都方面に直通する路線の利点から、北陸方面、山陽新幹線方面、「はるか」停車駅という3通りのトクトク切符を設定しています。北陸方面でははるかに加え、サンダーバードなどの他の特急列車にも乗車可能です。片道のみだった南海に対し、往復乗車券で、有効期限は14日間。旅行などには十分な日程です。往復ということで自由度は低くなりますが、設定駅が多く使いやすい切符です。現在、北陸方面の一部の駅からは北陸新幹線の利用が可能になっています。将来的に北陸新幹線が延伸されると、それに直通する切符が発売されると思われます。

ところで、この切符群の対象駅の最東端は北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅となっていて、北陸方面には対象駅が広がりを見せていますがそれだけになっています。また、主要駅のみの設定となっています。

関西空港への需要は関西の広域からあると思われるので山陰線の京都口や湖西・琵琶湖両線、また、「まいづる」など北近畿地区の特急なども範囲にすると需要があるかもしれません。

 

最終回となる次回は、切符の観点から乗客を閑散する列車や時間帯に誘導する仕組みを考察していきます。

 

執筆:No.7405

写真・校正:No.7212(起稿班班長)

 

↓起稿班研究第六号の過去記事はこちらです

 

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