灘校鉄道研究部公式ブログ

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企画きっぷを考える<第2回>(起稿班研究第六号・その2)

~関西1デイパス(JR西日本)他~

今回は、関西に限定した乗り放題切符である関西1デイパスとそれに対抗する私鉄各社の観光向けフリーきっぷを見ていきます。

関西1デイパスは、大阪近郊区間普通列車(特急料金の必要がない列車)が乗り降り自由となるほか、関西周遊に有効ないくつかの特典が付いた切符です。春夏秋冬の4期に発売期間が分かれていて、特典はその時々によって異なります。2016年から2017年にかけての冬の場合は、大阪水上バスアクアライナー」、江若交通バスが乗り降り自由になるほか、レンタル駅リン君(JR西日本が行う自転車レンタルサービス)の利用、さらに奈良・高野山・琵琶湖のいずれかの観光に使用可能なチケット(具体的には、近鉄・南海・京阪やバスに乗車可能)となっています。また、料金はおとな3600円、こども1800円となっています。これだけたくさんの特典が付き、3600円というのは、かなりお得感があります。特典についてですが、基本的には南海グループ・京阪グループ・近鉄グループのいずれかのチケット+大阪水上バス近江鉄道・江若交通バスなどという設定になっています。

こういった特典などからわかるように、ターゲットとなる客層はファミリーや友人同士などで、日帰りの観光を目的としています。ただ「乗り放題」というだけでなく、付加価値が多い切符で、旅行には便利でしょう。また、行きたいところに合わせてコースを選べるというのも利用しやすい一因です。

さて、ここでJRと対比することの多い競合私鉄についてみていきます。関西の私鉄各社はこれまで、JRを除く関西のほぼすべての私鉄路線で利用できる磁気カード、「スルッとKANSAI」を販売していました。

 

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(↑スルッとKANSAI)

 

そして、それに派生した、3日5200円、2日4000円でスルッとKANSAIの乗車可能範囲内が乗り降り自由となるきっぷ「スルッとKANSAI2day・3dayチケット」を販売していました。

これは近畿2府4県を除く地域で販売されており、関西外からの旅行客にとって大変便利なものでした。しかし、時代が進み、ICカードの普及が進んだため、磁気カードであったスルッとKANSAIは発売中止、それに伴い スルッとKANSAI2day・3dayチケットも発売中止となってしまいました。

それに伴い、いくつかの鉄道会社は新しいフリーきっぷを発売するなどしていますが、乗車可能範囲が圧倒的に狭く、不便になった感は否めません。

 しかし、私鉄各社が目的地別に様々なフリーきっぷを発売していて、乗車可能範囲こそ狭くても、乗客それぞれのニーズにあった乗車券が存在します。例えば阪急電車では、阪急阪神1dayパスや京都レールきっぷ、奈良・斑鳩1dayチケット、海遊館の入場券とセットになったOSAKA海遊きっぷなど、他社と協力しつつ多くの乗車券を発売しています。山陽電車においては、利用可能区間によって6種類もの「1dayチケット」を発売しています。

 このように、JR、私鉄ともに利用者のニーズに合った特典や利用区間など、様々な工夫を凝らしています。

 

次回は、井原鉄道のスーパーホリデーパスを考察していきます。

 

執筆:No.7405

校正:No.7212(起稿班班長)

 

↓起稿班研究第六号の過去記事はこちらです

nrcofficial.hatenablog.jp