<特集> 2016年春ダイヤ改正 貨物(特集第一号・その7)
JRグループのダイヤ改正では、旅客列車関係の変更に目が行きがちですが、JR貨物もこれにあわせてダイヤを改正しています。この特集記事としては年内最後になる今回は、普段あまり注目されない貨物列車の変更内容に触れてみたいと思います。
①関東~関西間 列車の新設
東京貨物ターミナル駅~吹田貨物ターミナル駅間を結ぶコンテナ列車が1往復新設されます。増発されるのは、上下線とも深夜発早朝着となる列車で、24両編成での運転となります。
②首都圏~九州間の輸送力の拡大
圏央道の開通などを背景に、高崎地区(熊谷貨物ターミナル駅・倉賀野駅)から北九州貨物ターミナル駅・福岡貨物ターミナル駅へ向かう列車の輸送力を増強するほか、梶ヶ谷貨物ターミナル駅から福岡貨物ターミナル駅への輸送を新設、新座貨物ターミナル駅から九州地区への輸送もあわせて増強されます。(ただし、プレスリリースを読んだ限りでは、新座ターミナル駅から北九州貨物ターミナル駅への輸送は削減されるかもしれません)
③東海・北陸・信越エリアと関西以西とを結ぶ列車の輸送力拡大
増強されるのは次の列車です。(下記掲載の個数は12ftコンテナ換算)
- 名古屋貨物ターミナル駅と北九州・熊本の両貨物ターミナル駅を結ぶ列車1往復:20個増加
- 大阪貨物ターミナル駅と新潟貨物ターミナル駅を結ぶ列車1往復:15個増加
- 百済貨物ターミナル駅と新潟貨物ターミナル駅を結ぶ列車1往復:5個増加
- 新潟貨物ターミナル駅と広島貨物ターミナル駅を結ぶ列車1往復:新潟貨物ターミナル駅・南長岡駅と岡山貨物ターミナル駅との間で10個増加
- 富山貨物駅発福岡貨物ターミナル駅行き列車1本:金沢貨物ターミナル駅と南福井駅から福岡貨物ターミナル駅に向かう輸送力を10個増加
- 福岡貨物ターミナル駅発札幌貨物ターミナル駅行き列車1本:福岡貨物ターミナル駅から南福井駅に向かう輸送力を10個増加
④一部列車の速達化
速達化される列車のうち、札幌貨物ターミナル駅から関東地区へ向かう3本は短縮幅が大きく、中でも梶ヶ谷貨物ターミナル駅に向かう1本は9時間近く短縮されます。また、新座貨物ターミナル駅発名古屋貨物ターミナル駅行きの1本については発車時刻を1時間28分繰り下げます。このほか、隅田川駅発札幌貨物ターミナル駅行きの1本、、関東地区と関西地区を結ぶ列車のうち上下各1本、関東発九州行きの1本、西浜松駅発福岡貨物ターミナル駅行きの1本、福岡貨物ターミナル駅発札幌貨物ターミナル駅行きの1本についても21分~43分短縮されます。
また、東海地方・北陸地方と九州地方との間の輸送においてリードタイムが短縮されています。
⑤駅名の改称
西岡山駅が3月26日のダイヤ改正と同時に岡山貨物ターミナル駅に改称されます。
以上、JR貨物のプレスリリースをまとめました。全体として、モーダルシフトによる需要の増加を背景にした前向きな改正が多い印象です。また、ダイヤ改正とは別に、輸送機材の設備投資についても記述があり、機関車では、EF210形電気機関車を6両、EH800形電気機関車を8両、HD300形ハイブリッド機関車を4両投入します。また、コンテナ貨車はコキ107形貨車(最高速度110km/h)を109両投入し、コキ50000形(最高速度95km/h)を一部置き換えて列車の高速化を進めます。
コンテナは19D形コンテナを3300個、V19C形コンテナを500個、20E形コンテナと30D形コンテナを各100個の計4000個を投入するとのことです。これでも貨車・コンテナに関しては昨年度より少ない値となっています。
左:EF210形電気機関車 右:19Dコンテナ(それぞれ同形式ですが仕様が異なります)
このシリーズの次回掲載は来年に入ってからとなります。次回は四国エリアの改正内容を取り上げる予定です。
特集第一号の過去記事はこちら ↓
執筆:副編集長(No.7005)
校正・写真:部長(No.6903)