南海9000系(車両研究紹介・南海その4)
☆9000系とは?
1985(昭和60)年当時、高野線では相次いで新車が入っていたのに対し南海線では7100系以降新車導入がありませんでした。しかし、1985(昭和60)年に10000系サザンがデビューして旧1000系を置き換えることとなったものの旧1000系は座席指定車だけでなく自由席特急や急行の運用にも入っていたため、その分の一般型車両の増備が必要になりました。そのため、南海線用の一般型車両として高野線8200系をベースとした、界磁チョッパ制御の9000系が東急車輌で製造されました。南海線初のステンレス車両で、当時の「高野線はステンレス車、南海線は鋼製車」という常識は覆されましたが、車体にグリーンの帯が入れられ線区識別とアクセントとしても生きました。また、車内は暖色系で据えられ落ち着いた雰囲気となりました。
(↑9505F。 下り高架化前の羽衣~高石間にて)
☆1次車の製造
1985(昭和60)年に1次車が製造されました。当形式には9001形(M)、9501形(Tc)があり、1次車はcTMMTcの4両編成のみ製造されました。また、パンタグラフは奇数M車に2基取り付けられています。
1次車の編成は以下の通りです。
←難波
9501F:9501-9001-9002-9502 9503F:9503-9003-9004-9504
9505F:9505-9005-9006-9506
☆2次車の製造
1986(昭和61)年と1987(昭和62)年に乗務員室の機器配置変更や制御装置の回生制動操作の改良などが図られた2次車が製造されました。これまでは4両編成ばかりだったため、普通運用中心でしたが、予算と年度の関係でまず1986(昭和61)年に
9507F:9507-9007-9008-9009-9010-9508
が製造され急行系統にも使用されるようになりました。
翌年に9511Fと9509Fの先頭車2両が製造され、9507Fは4両編成に組み換えられました。
2次車の編成は以下の通りです。
←難波
9507F:9507-9007-9008-9508 9509F:9509-9009-9010-9510
9511F:9511-9011-9012-9512
☆3次車の製造
1988(昭和63)年に以下の6両編成1本とモハユニットが製造されました。
←難波
9513F:9513-9015-9016-9017-9018-9514
モハユニット:9013-9014
モハユニットは当初は9501Fに連結して
9501-9001-9002-9013-9014-9502
とされましたが、1990(平成2)年に9511Fに組み替えられ
9511-9011-9012-9013-9014-9512
と揃えられ9511Fは6両となり9501Fは4両に戻りました。
☆主な改造
1987(昭和62)年に1次車に2次車との仕様統一改造が行われ、1992(平成4)年には補助回路関係の改造による新1000系との併結対応が実施されました。また、1992(平成4)年から1994(平成6)年にかけて新塗装に変更されました。
(↑12000系と併結している9503F。 住ノ江駅にて)
☆12000系との併結
9000系は新1000系や12000系とブレーキ方式が同じであるため、形式上併結可能でしたが、冷房機のメーカーが異なり温度調節に不都合がありました。しかし、2015(平成27)年12月に12000系との併結運転が開始されました。運転開始当初は車両故障が発生していたものの現在は故障等なく通常運行されています。
☆車両更新
9000系では現在車両の更新は行われていませんが、車齢が30年近いことから近いうちに更新が行われると思われます。
執筆:No.7212
校正:編集長(No.7005)