灘校鉄道研究部公式ブログ

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JR西日本長距離列車に関する考察Ⅰ【北陸地方】(起稿班研究第五号・その1)

 JR西日本の長距離列車について、特急電車を中心に、これからどうなっていくのか、どうなるべきなのか、「北陸」「関空アクセスと紀伊地方」「兵庫県北」の3回に分けて考察します。

 

北陸地方

①大阪・名古屋からのアクセス

 大阪から特急「サンダーバード」、名古屋・米原から特急「しらさぎ」が金沢まで運行され、金沢から先は北陸新幹線が先行開業しています。「サンダーバード」「しらさぎ」は、金沢まで大阪から2時間半、名古屋から2時間で行くことができ、需要も高いです。さらに、北陸新幹線の開業により、甲信越地方へのアクセスが向上しています。

 ただ、北陸新幹線の開業により、「サンダーバード」「しらさぎ」の富山直通が廃止され、富山から関西へは乗り換えが必要となり、不便になったという声もあります。北陸新幹線は、北陸~東京間は便利にしましたが、北陸~大阪間に関しては利便性が向上したとはいえないでしょう。

 

②その他の特急

 現在、北陸では、「サンダーバード」「しらさぎ」の他に、朝晩に福井~金沢間を走る特急「おはよう・おやすみエクスプレス」「ダイナスター」と金沢~和倉温泉間を走る特急「能登かがり火」が運転されています。前者は通勤客を対象とした特急です。後者は金沢~和倉温泉間を走っていた特急「はくたか」の廃止、「サンダーバード」の本数減少の穴を埋めるために設定されています。

 

北陸新幹線延伸 

  これから先、北陸地方のカギを握るのは、北陸新幹線の延伸でしょう。現在、北陸新幹線は2022年度敦賀開業に向けて準備が進められています。

 JR西日本は、敦賀まで北陸新幹線が開業した際、大阪~敦賀フル規格開業までの間フリーゲージトレイン(FGT)で大阪から北陸を結ぶことを計画しています。ところが、敦賀開業にFGT開発が間に合いそうになく、敦賀延伸からしばらくの間、在来線から新幹線への乗り換えが必要となります。このとき、「サンダーバード」「しらさぎ」が敦賀止めになるかは微妙なところで、特急電車と新幹線の運行区間が重複するのはJRとしては避けたいところですが、敦賀駅の新幹線ホームと在来線ホームが200mほど離れる計画であり、敦賀での乗り換えは不便です。そのため、特急電車が福井まで運転される可能性が高いと考えられます。また、新幹線が延伸されると、車両の増備が必要となりますが、FGTが導入された場合余剰になるW7系を増備するのは得策とはいえません。敦賀~福井・金沢は本数を減らし、FGT導入まで暫定的に特急電車を福井・金沢まで運転するというのも一案でしょう。しかし、この場合新幹線の効果は薄まってしまいます。

 このようなことから考えると、北陸~大阪のアクセスはあまり向上せず、福井~敦賀では新幹線と特急が重複する可能性が高いということになります。急いで新幹線を敦賀まで延伸しても、収益、乗客の増加にはつながらないのではないでしょうか。敦賀開業を急ぐ必要性は低かったのではないかと思います。やはり、北陸新幹線は、大阪との接続が急務でしょう。ところで、FGTに関しては、昨年11月、JR西日本の真鍋社長が

 「(開発が長期化すれば、)難しい問題になる。」

と話していて、FGT導入見送りの可能性も出てきています。

 こうなってくると、北陸・大阪間を新幹線で結ぶのは、敦賀~新大阪フル規格開業まで持ち越しとなってしまいます。この区間は、いまルート選定中という状態であり、大阪への接続には時間がかかってしまいます。北陸新幹線延伸に伴い、北陸~大阪のアクセス向上に向け、この先どのように北陸の列車が変化していくのか注目していきたいところです。

   

次回は「関空アクセスと紀伊地方」と題して考察します。

 

執筆:No.7405

校正:編集長(No.7005)