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灘校鉄道研究部公式ブログ

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地方鉄道の知恵<第5回・前編>(起稿班研究第三号・その10)

No.7105執筆の記事 起稿班 九州

1.はじめに

 今回は「おれんじ食堂」で有名な肥薩おれんじ鉄道などを取り上げ、「レストラン列車」など食事を取り入れたイベント列車の展望について考える。

 

2.食堂車と「おれんじ食堂」

 元来、鉄道は人やものの輸送を行うことを念頭に設計されている。旅客駅では人がスムーズに動きやすいように動線が考えられており、また貨物駅では貨物を効率よく扱えるような施設が造られている。もちろん鉄道車両も同様である。乗り降りがしやすいようにドア数を増やし座席はロングシートにする、とか長時間快適に過ごしてもらうために座席にリクライニング機能を搭載する、といったことが考えられている。どのような種類の列車での運行を想定するか、例えば大都市近郊で用いるか地方のローカル線で用いるか、また優等列車で用いるか普通列車で用いるかなど、を考えられて設計されている。食堂車やラウンジカーのように一見輸送の範疇から逸脱しているように思えるものもあるが、これらも輸送を快適に行うため、例えば食堂車だと、列車の運行時間が食事時間と重なるとき、食料調達のしにくい列車内で食事を摂るために設定されたものであり、展望車は長距離移動の中で景観を楽しみ、また退屈を凌げる、といったものだ。これらの例では「輸送」があくまでも軸にあり、食堂車やラウンジカー延長線上にあった。しかし、「おれんじ食堂」は趣を異にしている。この列車は食事がメイン。鉄道での移動は副次的なものとなっている。車内で食事、この従来とは全く異なる発想を武器に今、肥薩おれんじ鉄道は戦っている。

 

 「おれんじ食堂」は2013年より運転を開始した「レストラン列車」で、新八代駅出水駅川内駅間で金・土・日・祝日に34便ほど運行されている。料金は列車によって異なり、大人は6,500円〜21,000(運賃・座席指定料金・食事料金・お土産料金の合計)

 

3.「おれんじ食堂」の魅力とは

 前項で述べた通り、鉄道とレストランは本来共存するような関係はない。厨房やテーブルが必要となるレストランを設置すると、著しく定員が少なくなる。「おれんじ食堂」のレストランの定員はわずか20人。それでも運行を実際におこなっているということは、肥薩おれんじ鉄道に、そして地元自治体に何らかの見返りが降ってくるということを想定しているのだろう。その見返りとは、どういったものなのか。

 

 今「おれんじ食堂」が人気なのは、それがレストランのみ、あるいは鉄道のみでは持ち得ない魅力的な何かを持っていると言うことだ。「おれんじ食堂」で提供される料理は地元の食材を用い、地元のレストランや料亭の料理人が腕をふるった料理である。また、肥薩おれんじ鉄道は沿岸部を走るため、素晴らしい海を望むことが出来る。「おれんじ食堂」は食事と眺望の二つを一度においしくいただけるのだ。明媚な眺めを眺めながら食事に舌鼓を打ち、そして熊本から鹿児島へ(あるいは鹿児島から熊本へ)の移動が出来る。九州旅行の選択肢の幅が広がるのだ。

 

 しかし、それだけでは今のような人気は無かったであろう。全国各地には景色の良さを売りにしたレストランは多くあるし、景色の良いところにはレストランが建つものだろう。それらとの区別、つまりそれらのレストランではなく「おれんじ食堂」を選ぶ理由が無いことにはこれだけの集客は不可能に違いない。その理由は積極的な地元産物の使用や地元アーティストの招待などによる地産地消の推進、そして沿線各地との強い結びつきにあるだろう。地産地消とは地域生産・地域消費の略で、ある地域で生産した産物をその地域で消費するということだ。これにより、沿線地域の活性化や愛着を持ってもらうことにつながる。「おれんじ食堂」では途中駅で「駅マルシェ」を開いて地元のお土産を販売している。また地元のアーティストを招き披露してもらうことで地元のPRにつながり、またアーティスト自身の宣伝にもなるだろう。また、鉄道会社らしく駅舎も宣伝材料のひとつだ。

 

<後編に続く>

 

執筆: No.7105

校正: 編集長(No.7005)

 

これまでの起稿班研究第三号記事はこちらです↓

 

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