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運賃と輸送形態から鉄道を読み解く(起稿班研究第二号・その4)

今回も引き続き都市間の運賃について述べさせていただきます。今回は中京地区をとりあげます。

 

(2.特定の都市間の運賃の続き)

γ:中京地区

 ①名古屋から知多・三河方面

  A)名古屋~豊橋・豊川

   JR東海 名古屋~豊橋 1320円

        名古屋~豊川 1490円 

名古屋鉄道名鉄名古屋豊橋 1110円

      名鉄名古屋豊川稲荷 1110円

 

  B)名古屋~半田・武豊

 JR東海   名古屋~武豊(*1) 760円

        名古屋~半田(*2) 670円 

名古屋鉄道 名鉄名古屋知多武豊 730円

       名鉄名古屋知多半田 660円

*1:JR武豊駅と名鉄知多武豊駅は乗り換え駅ではありません(徒歩約15分)

*2:JR半田駅と名鉄知多半田駅は乗り換え駅ではありません(徒歩約10分)

 

 この地域で競合するJR東海名鉄はともに全体的な運賃が高めとなっています(詳しくは第1回をご覧ください)。また、名鉄は路線によって運賃計算時の距離の扱いを変える(換算区間の運賃が高くなる)システムを採用しています。JRにおける地方交通線擬制キロのようなものです。

 A)に関しては距離の違いはそこまで大きくありませんが、先ほど述べたような運賃システムなどの関係から運賃に差がついています(特に名古屋~豊川)。B)はほぼ同じと言って差し支えない程度の差です。しかし、注釈で述べたように両駅は隣接している訳ではないという点からも考えられますが、いわゆる「棲み分け」が行われており完全なる並行(対立)路線ではないのでこの点はそこまで強調されないものかと思われます。ちなみに昼間の名古屋~武豊の所要時間は名鉄(特急)が35分なのに対してJRは50分と大差がついています。

 ②名古屋から岐阜方面

  A)名古屋~一宮・岐阜

 JR東海   名古屋~尾張一宮 300円

       名古屋~岐阜 470円

名古屋鉄道 名鉄名古屋名鉄一宮 370円

       名鉄名古屋名鉄岐阜 550円

                             

 この項はA)しかないです。

 この区間はJRの方が安くなっています。この区間にJRは特定運賃を適用していることが大きな原因でしょう。そして①Aと②Aから読み取れることはJRが豊橋方面より岐阜方面に力を入れているという事です。私なりに分析いたしますと、豊橋へは新幹線で行くという手段があるのでJR東海はむしろそっちを使ってほしいが岐阜市内へは新幹線一本ではいけないので在来線で勝負しよう、といったところでしょうか。かなり私見が混じっておりますがJR東海はとにかく新幹線に力を入れているのでこういった解釈もできうると考えております。

 

 ③名古屋から三重方面

  A)名古屋~桑名・四日市・津

  JR東海  名古屋~桑名 350円

       名古屋~四日市(*3) 470円

       名古屋~津(亀山経由) 1320円

       名古屋~津(伊勢鉄道経由) 1270円

近畿日本鉄道 近鉄名古屋~桑名 440円

              近鉄名古屋近鉄四日市 620円

      近鉄名古屋~津 1010円

 

*3:JR四日市駅近鉄四日市駅は乗り換え駅ではありません(徒歩約15分)

 

  この項もA)しかないです。この区間は複線の近鉄と単線で約半数がワンマン運転のJRという状態ではありますが、名古屋~桑名に限っていえばJRの方が安いです。もっとも四日市まで行くとひっくり返されてしまいますが。名古屋~津に関していうと、もし仮に伊勢鉄道もJRと一体となった運賃形態を採っていれば1140円となります。それでも近鉄と比較したら130円も高いですが…

 

次回は残っている九州地方の分析をした後で有料特急の話に入って行きたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

 

執筆:No.7210

校正:副編集長(No.7005)・部長(No.6903)

 

これまでの 起稿班研究第二号記事はこちら↓

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