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阪神7861・7961形(車両研究紹介・その1)

阪神7861・7961形

まえがき

阪神7861・7961形は、7801・7901形の増備車として1966(S41)年に登場、1968(S43)年にかけて8編成16両が全車武庫川車両にて製造されました。

経済性重視で当時のラッシュに対応するために製造されたという経緯から、7801・7901・7861・7961・3521形については屡「R(ラッシュの意)車」と表記されます。今回は、そのR車のグループの内、登場から50年となる2016年現在も活躍する7861・7961形について時系列で紹介していきます。

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登場時の仕様

7861・7961形はS41年製造グループとS43年グループがある。主な違いとしては、S41年製は昇圧前の600V時代に製造された為、パンタグラフを二基搭載した姿で登場。経済性重視であるが故に前面雨樋が露出している。台車は当時急行用として使用していたFS341・FS341Tを装備。

登場時はグローブ型ベンチレーターを搭載、車内座席を運転室後方には設置せず、蛍光灯の削減等がなされている。

1966(S41)年度の車両廃車・製造を見ると、小型車881形6両が廃車または譲渡、7861・7961形3編成6両・3521形2両・7801・7901形2両となっているので、S41年度製造グループはおおよそ小型車を全て置き換えるために製造されたものと見て良いだろう。

ちなみに落成日は7861F・7863Fが9/20、7862Fが10/4となっている。7861・7961形のS41年度製造グループ以降は、武庫川車両は1967(S42)年夏まで3521形を、1968(S43)年春にかけては普通車の5261形の製造を行っているため、7861・7961形の製造は行われていない。

1968(S43)年春より製造の再開された7861・7961形は、前面雨樋を埋め込み乗降扉高さを1900mmに引き上げ、昇圧済みである為にパンタグラフを一基に削減するなどの変更が加えられている。また、このS43年度製造グループは神戸方に電動車を持つ偶数車番編成のみしか製造されていないのが特徴である。落成日は7864F・7866Fが7/1、7868Fが8/20、7870Fが9/28、7872Fが11/25である。

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冷房化改造以降

冷房化改造は、1971年3/10の7864Fから順に、4/6に7862F、5/4に7863F、5/28に7861F、6/22に7866F、7/17に7868F、8/10に7870F、8/31に7872Fに施工された。本形式は阪神車の中でいちはやく冷房化されている為、他形式に比べて冷房装置MA13HAの取り付け位置がやや高い。

1981年には行先表示機が取り付けられ、1984年に武庫川線にて運行開始、1986年には編成の組み替えが行われる。

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7870F・7872Fの編成をバラし、7870・7872は7831F・7833Fの神戸寄りに連結、三両固定とした。一方7970・7972は制御付随車であるが、これをそのまま7832F・7834Fに連結しても出力不足で運行できないために電動車化改造が行われ、それぞれ7871・7873へと改番された。なお、この2両はパンタグラフ設置の際に先頭から二つ目の冷房装置を撤去して取り付けているのが特徴である。

 廃車の進行と本線からの撤退

1993年には8000系タイプⅢによって先ほど述べた7831F・7833F・7871F・7873Fが廃車となった。これにより7861形は16両中4両が廃車されたこととなる。

その後も7801・7901形の廃車が進行するが、1995年の阪神淡路大震災によって車両不足に陥ったため、7829-7929-7930-7830の95年3月廃車予定が後回しになり、9000系増備後の1996年3月となった。7862Fはこの編成と連結していたため、道連れ廃車となった。

(廃車直前の編成は7962-7862+7829-7929-7930-7830であった)

この時点で16両中10両が残存している。

 

その後暫くは、ワンマン対応車となった7864F・7866F・7868Fのうちが武庫川線(主に66と68であった)、7863F+7864Fや、7861Fと7801形二次車が併結した四連が西大阪線運用に就くといった運用であった。

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西大阪線運用に就く7863F+7864F

しかし、2009年の西大阪線延伸開業(現・なんば線)に向けて1000系が増備されていくと、2007年9月に1501F+1502Fによって7837F+7861Fが、2008年11月に1503F~1506Fの増備によって7863Fが廃車となった。

7864Fは晩年の7863Fと併結していたが、ワンマン対応設備を持っているために、7866F・7868Fと共に武庫川線用となった。今となっては旧型である本形式は、武庫川線の所要二本に加え、予備一本の計三本体制となる。

 

現在

現在は7864F・7866F・7868Fの三編成6両が在籍しており、武庫川線に於いて活躍している。

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↑7864F

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↑7866F

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↑7868F

今となっては編成両端にバンドン型連結器を構える唯一の形式である。

また、先ほども述べたとおり予備車が常に一編成存在する為、尼崎車庫の西端の留置線(”丘”などとも呼ばれる)に救援車110と共に置かれていることが多い。

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現在残存する編成は全てS43年度製造グループだが、阪神電鉄では最古参形式であるので今後の活躍・動向を注視したいものだ。

 

 

執筆:部長(No.6903)

参考文献:保育社 私鉄の車両21 阪神電気鉄道

     鉄道ピクトリアル1985年8月増刊号・通巻452号

     鉄道ピクトリアル1975年2月増刊号・通巻303号

 

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