灘校鉄道研究部公式ブログ

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路線別ダイヤ研究 ~阪神本線~(起稿班研究第四号・その4)

  1. 阪神本線とは

阪神本線は梅田~元町を結ぶ32.1kmの路線で大阪・神戸間を結ぶ鉄道路線の中で最も南側を通り、また最も駅数が多い。また元町からは神戸高速線、さらにその先の西代からは山陽電鉄線につながっており、梅田~山陽姫路間を直通特急として相互直通運転を行っている。さらに大阪難波~尼崎の阪神なんば線によって近鉄奈良線と結ばれており、神戸三宮~近鉄奈良間の快速急行などが相互直通運転を行っている。また待避可能駅も大石、御影、青木、西宮、甲子園、尼崎センタープール前、尼崎、千船、野田と多い。

 

停車駅

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阪神電車公式サイト 路線図・駅情報(http://rail.hanshin.co.jp/station/ )より

 

  1. ダイヤパターンについて

ここで日中のダイヤを見てみよう。山陽姫路まで直通する直通特急が毎時4本、須磨浦公園折り返しの特急が毎時2本、合わせて毎時6本が10分間隔で運転される。ここに阪神なんば線直通の快速急行が20分間隔で直通特急・特急の前後に続けて運転される。また急行が梅田~西宮間と梅田~尼崎間で交互に毎時3本ずつ設定され、尼崎までの列車は上下とも尼崎で快速急行と接続する。

次に平日朝ラッシュ時のダイヤを見てみよう。平日朝ラッシュ時には区間特急と区間急行が加わり、千鳥停車を行うことで混雑の平準化を行っている。この時間帯の神戸方面~梅田間の特急はすべて直通特急であり甲子園を通過する。また快速急行大阪難波方面への輸送に役割を絞り、尼崎で梅田方面との接続をとらない構成が日中と大きく異なる。そして朝だけの種別と日中と異なる停車パターンにより、直通特急区間特急快速急行、区間急行と4種類の優等列車があるがすべてが停車する駅はない。これら優等列車に普通を加えると甲子園~尼崎間では12分サイクルの中に5本が入ることになり、1時間あたり25本の運転となる。

 

  1. 尼崎での柔軟な接続

尼崎駅の線路配置は4面6線で阪神なんば線の複線を中央に配し、待避線を備えた阪神本線の上下線が両側から囲み、上下方向それぞれ3線の間に2面の島式ホームがある。また最も山側の阪神本線上り待避線を1番線で、最も浜側の阪神本線下り待避線を6番線としている。よって上りの2番線と下りの5番線は両側にホームを持つ。

尼崎駅では日中ダイヤにおいて快速急行、急行、普通が接続するときに「列車がホーム」になるのである。ここで下りを例にあげてみる。まずは5番線に普通が到着し6番線側、次いで4番線側とドアを開ける。その2分30秒後に6番線に急行が到着し、1分後には4番線に快速急行が到着して3列車が横並びになる。すると普通と快速急行、急行と普通がホームを使って乗り換えられるのは当然だが、急行と快速急行も5番線の普通を通路代わりに異なるホーム間を簡単に乗り換えられる。これは阪神電車が乗り換えを便利にするために駅の構造とダイヤを設計し、サービスを提供しているのであって、乗客が勝手に行動してそれを駅が黙認しているというわけではない。

 

  1. 最後に

阪神電車では2014年3月から近鉄特急との直通運転を臨時列車で行っている。神戸から伊勢志摩や名古屋への特急の直通は阪神なんば線の開業時から取り沙汰にされていた。近鉄特急を一般営業列車として運転させるには、阪神に例のない有料特急の制度面と、緻密な阪神本線の都市型ダイヤの中にどう織り込むのかなどと、様々難問があるが、これからどのようになっていくか楽しみである。

 

執筆:No.7102

校正:副編集長(No.7005)