灘校鉄道研究部公式ブログ

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運賃と輸送形態から鉄道を読み解く(起稿班研究第二号・その2)

前回は基本運賃体系について述べさせていただきました。今回は特定の都市間の運賃について述べたいと思います。

 

2.特定の都市間の運賃

α:関東地区

 ①東京→東海道方面

  A)東京~横浜・久里浜

 JR東日本   渋谷~横浜 390円(IC388円)

           品川~横浜 290円(IC288円)

          品川~久里浜920円(IC918円)

東京急行電鉄 渋谷~横浜 270円(IC267円)

京浜急行電鉄 品川~横浜 300円(IC298円)

       品川~京急久里浜930円(IC926円)

 

  B)東京~小田原

 JR東日本  新宿~小田原 1490円(IC1490円)

小田急電鉄  新宿~小田原 880円(IC874円)

 

 A)に関しては各社特定運賃を定めたりして熾烈な価格競争をしています(特に東京~横浜)。前回も言いましたが東急はそもそもの運賃が本当に安いですね。三浦半島方面への運賃についてはほぼ互角です。今回の文章ではあまり触れませんが、速度面では京急の方が優勢(昼間の品川~久里浜京急久里浜間の所要時間は京急:51分に対してJR:73分)かもしれません。B)は大きな差が付いています。JRの運賃がこれほどに高いのは小田原駅が東京附近の電車特定区間内でないことも理由の一つかと思われます(東海道本線で言えば大船駅までが特定区間内で、もし仮に小田原が電車特定区間内なら新宿~小田原は1420円)。

 

 ②東京→多摩・武蔵野方面

  A)東京~吉祥寺・八王子・高尾

 JR東日本 渋谷~吉祥寺   220円(IC216円)

 新宿~八王子   480円(IC474円)

         新宿~高尾    550円(IC550円)

京王電鉄  渋谷~吉祥寺   200円(IC195円)

 新宿~京王八王子 360円(IC360円)

        新宿~高尾    390円(IC381円)

  B)東京~川越

JR東日本 池袋~川越  580円(IC583円)

 東武鉄道  池袋~川越  470円(IC463円)

 

A),B)共に私鉄の線路があるところで多少無理してJRと運賃を比較したのも一因ですが、やはり私鉄の方が安いですね。Aに関してはJRも特定運賃を定めて対抗はしていますが… 前回の1章でも述べた京王の圧倒的な安さの前に特に遠距離では完敗といった情勢となっております。Bはそもそもの距離が全然違う(JRは38.7kmですが東武は30.5kmです)上に埼京線には大宮への輸送という役割もあるので単純比較はできませんが、それでも運賃面では東武に軍配が上がっているといえるでしょう。

 

③東京→千葉・成田方面

 A)上野~千葉・成田・成田空港

 JR東日本 上野~千葉     720円(IC712円)

        上野~成田      920円(IC918円)

       上野~成田空港   1490円(IC1490円)

       品川~成田空港   1490円(IC1490円)

京成電鉄 京成上野京成千葉 600円(IC597円)

         京成上野~京成成田 840円(IC833円)

       京成上野~成田空港1030円(IC1025円)(*1)

        品川~成田空港  1510円(IC1502円)(*2)

*1…本線経由    *2…成田スカイアクセス経由

 

この項目にはA)しかありません。

 運賃の比較のために両社とも上野を起点として比較しておりますが、利便性も考慮すると上野からJR経由で千葉、ましてや成田へ向かう人は多くないでしょうから、いわゆる「棲み分け」が成り立っていると言えるかと思います。また、この区間の輸送(特に空港への輸送)を語ろうとすると有料特急の存在が外せないのですが、運賃単位で話をすると上にあげた区間のうち上3つにおいては京成の方が有利といえるかもしれません。また品川~成田空港(成田スカイアクセス経由)のように多くの会社をまたぐとたちまち運賃が跳ね上がってしまうのが私鉄の弱みの一つと言えるかもしれないです。

 

 それでは次回は関西地区の都市間の運賃について書かせていただく予定です。

 お読み頂きありがとうございました。

 

執筆者:No.7210

校正:副編集長(No.7005)