灘校鉄道研究部公式ブログ

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運賃と輸送形態から鉄道を読み解く(起稿班研究第二号・その1)

0.まえがき

 はじめまして。今回から数回(3~5回を予定)かけて「運賃と輸送形態から鉄道を読み解く」と題して大手私鉄16社とJR(本州3社)の運賃・料金を比較して各社の特徴を述べさせていただき、ます。それでは早速ですが本文へと移らせていただきます。

1.基本運賃体系

まずはこちらの表をご覧ください。 

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※1…東京電車特定区間 ※2…大阪電車特定区間   JR幹線のIC運賃はJR東日本区間のみ適用

大変見にくくなっており申し訳ございません。

 

上記の表を見るだけでも各社の個性が良く表れていますね。

 

全体的に見て、営業範囲が広く郊外の路線を多く抱える会社、特に名鉄近鉄、南海は短距離での運賃を高くせざるを得ない状況になっています。これもおそらく都心の一極化による郊外における人口の減少や自家用車使用者の割合の高さが影響しているのでしょうか。

会社別では東急・京王が他の私鉄と比較してかなり安いということが印象的です。JRは近距離(目安として15kmまで)ではかなり安いものの距離が長くなるにつれて同じ距離当たりの運賃の上げ率が他の民鉄と比べてより大きくなっています。逆に京阪、阪急、阪神の3社は中距離(目安として20~50km)においては安くなっています。とりわけ京阪の運賃体系はかなり特徴的ですね。というのも近距離では近鉄や南海よりも高く設定されている運賃が中距離になると急に20円/5km程度の上げ率になっているものですから。

またこの京阪の傾向をより強めたのがメトロと言えるでしょう。初乗りの運賃の安さは最下位クラスですが、一転中距離ではかなりの安さ、特に40kmにおける運賃は他の私鉄と比べて圧倒的な安さを誇ります。最も首都東京の都心を貫く東京メトロはこれらの会社の中で一番の収益を挙げている(東京メトロ全線の営業係数〈2007年〉は71.9。ちなみに、2位は阪急の75.5)ので当然と言えば当然ですが…。

 最後に、南海について補足させていただくと、この会社の運賃体系は基本的にキロ数の1の位が4から5になる時と9から0になる時に運賃が上がるためにこの統計方法だと少しばかり不利になっているので、特に中距離ではそれも考慮してこの表を見ていただけると幸いです。

 

次回は特定の都市間の運賃の比較について書かせていただこうと思います。

 

執筆者:No.7210

校正:副編集長(No.7005)